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婦人科カーテンの謎、日本と海外との違い

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「外国人が日本に来てここに驚いた」という内容のバラエティー番組がテレビでよく放映されています。食べ物や電化製品、ファッションや習慣などにスポットがあたることが多いですが、ほかにも「パッと見ただけではわからない違い」もあります。今回は女性の視点からその違いに迫ってみようと思います。

顔の見えない「カーテン」に驚き!

写真はイメージです
写真はイメージです

日本に長年住む外国人女性と話していると、よく話題に上るのが婦人科にビックリしたという話。ずばり、それは婦人科の診察で使う内診台の「カーテン」のことです。

日本のほとんどの婦人科では、内診の際に患者と医師がお互いに顔を見なくて済むようになっており、この心遣いをありがたいと感じる女性も多いようですが、欧米に住んでいた女性たちから見ると、この「カーテン」が驚きなのです。というのは、ドイツを含むヨーロッパ、そしてアメリカの婦人科の内診では、ほとんどの場合「カーテン」がないからです。

欧米諸国の場合、内診台の横にあるモニターを医師と患者が一緒に見ながら、医師が状況を説明してくれます。「モニターのここにこういうものが映っていますが、これは特に心配はありません」といった感じ。

もちろん患者側から質問をしてもかまいません。私自身はこのスタイルに長年慣れていたため、日本で初めて婦人科検診を受けた時は、目の前を遮るカーテンに本当にビックリしてしまいました。

日本のスタイルに慣れている女性の場合は、カーテンはあったほうがプライバシーを保てると感じる人もいるのだと思います。でも、私の周りの欧米の女性たちはみな口をそろえて「あのカーテンは謎だ!」と言います。やはり顔を見ながら医師と会話するのが自然だと考えるようです。

問診票「既婚・未婚」「性交渉の有無」は必要?

ドイツの婦人科検診でも事前の問診票はありますが、内容は「最後の生理はいつでしたか」といったシンプルなものです。

日本の問診票の場合はたくさんの項目があり、診察に入る前の記入によって、ある程度、医師やクリニック側がそれを目安に診察を進められるようになっています。私自身は、詳細に問診すること自体は丁寧で良いと思っていますが、なかには疑問に思う質問もあります。

たとえば、「既婚か未婚か」を記入するのは「何のため?」と思います。診察をする側としては生年月日と同じで、あくまでも参考程度に情報を聞いているのだとは思いますが、既婚と未婚というグループに分けられて、それぞれ一緒くたにされていないだろうか、とモヤモヤします。たとえば「既婚者だったら子供はほしいはずだろう」とか、「未婚だったら子供を今は作る予定がないだろう」などと勝手に判断されてしまわないだろうか、と気になります。

もっとビックリしたのが「性交渉の有無」の記入欄。これはヨーロッパの婦人科ではまず見かけない質問なので、「これはまた何のために聞いているのか?」と本当に驚きました。その情報で診察に差が生じるものなのでしょうか。先入観を持たず、医師には見つけられる病気は見つけてほしいと思ってしまいます。

ところで、私の知り合いの中国人女性は、来日したばかりで日本語がよくわからなかった頃に、訪れた婦人科の問診票に「性交渉の有無」と書いてあるのを見て「漢字から察するに、『売春経験の有無』を聞いているに違いない」と勘違いしたそう。「性交渉の経験⇒もちろん無し」と書いてしまったそうです。

ドイツでは12歳から婦人科へ

ドイツでは、思春期に入るころには、婦人科に行き始めます。歯科や眼科に通うのと同じ感覚で12歳ぐらいから半年に一度、婦人科で診てもらう女の子が多いのです。生理痛がひどかったり、ニキビに悩まされたりしている場合は、避妊目的でなくても、婦人科でピルを処方されることも。かくいう私も16歳のころホルモンバランスが整わずニキビに悩まされていたところ、治療のためにピルをのんでいました。数年後に彼氏ができた際には、避妊目的で違うピルを処方してもらいました。ドイツの場合は医師から「ピルは必要?」と聞いてくれることも多いです。

印象に残っているのはある女性医師。ピルを処方してくれたのと同時に「半分は彼氏に払ってもらいなさいね」(ドイツでは20歳まではピルが無料であることが多いのですが、その時の私は20歳を過ぎていたので自己負担だった)と言ってくれたこと。なぜだか楽しい会話として今も記憶に残っています。

色々書いてしまいましたが、自分に合う婦人科を見つけて、定期的にチェックしてもらうことは大事ですよね。忙しさにかまけて、つい忘れてしまったり、先延ばしにしたりしがちですが、自分の身体、大事にしたいです。

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プロフィル

サンドラ・ヘフェリン
サンドラ・ヘフェリン
コラムニスト
ドイツ・ミュンヘン出身。日本在住20年以上。日本語とドイツ語の両方が母国語。自身が日独ハーフであることから、「多文化共生」をテーマに執筆活動中。ホームページ「ハーフを考えよう!」。著書に「なぜ外国人女性は前髪を作らないのか」(中央公論新社)、「体育会系 日本を蝕む病」(光文社新書)など。新著は「ドイツの女性はヒールを履かない――無理しない、ストレスから自由になる生き方」(自由国民社)。
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