サンドラがみる女の生き方

本当は怖い女子力!?

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メディアでよく「女子力」という言葉を耳にします。女子会などでもよくこの「女子力」という言葉が飛び交い、ここ数年すっかり市民権を得ています。面白いのはこの女子力という言葉はドイツ語には訳せないこと。もちろん「女らしさ」だとか「女性らしさ」という言葉はドイツ語にもあるのですが、日本で使われている「女子力」のニュアンスとはちょっと違います。

「女子力」という言葉はポジティブか?

ニッポンでいう女子力はその漢字(「女子」と「力」)とは裏腹に、「おしゃれ」関連がメインの印象。例えば髪形がおしゃれだったり、いつもネイルがきれいだったり、女性としてこぎれいなのはもちろん、そこに一工夫されていたりするといわゆる「女子力が高い」ことになるのですね。身だしなみだけでなく、例えばキャラ弁を作るのが上手だとか、料理や家事が得意であることも「女子力」につながるようです。

でもこうやって見てみると、「女子力」は比較的新しい言葉ではあるものの、そこに含まれているのは、とてもクラシカルで古風な女性像です。

女子+力=いっぱい稼いでいること?

写真はイメージです
写真はイメージです

先日、「日本では最近『女子力』という言葉がよく使われている」とヨーロッパのとある国出身の女性に言ってみたところ、日本語を勉強中の彼女はこの「女子力」という言葉にとても興味を示しました。

「力」という漢字が入っているのを見て、「女性が力持ちだということ?」「いっぱい稼いでいるということ?」と聞かれたので、笑ってしまいました。確かに漢字だけを見ると、そういう発想になってもおかしくなさそうです。

それはさておき「女子力」にはなんとなくキラキラしたイメージがついて回りますが、考えてみれば「男子力」という言葉はそれほど使われていないわけですから、そこにある種の不平等性というか矛盾を感じるのでした。

「オシャレでキラキラ」は見ていて楽しいけれど、「女子力」なるものがもてはやされ過ぎると弊害のようなものもあるのではないかと。

型を壊しそうな人に厳しい社会 

ではその弊害はなにかというと、やはり「女子力」という言葉が連想させるような「かわいい女性」像を、必要以上に肯定しているところではないでしょうか。海外の女性ならいざしらず、男性の手に負えなくなるような女性が「内側」、つまりは日本から出そうになると叩かれる傾向にあるようです。女子力という言葉で「型にはまらない」女性を封じ込めようとする動きでは、と勘繰ってしまいます。

突飛な言動をする女性が増えれば増えるほど、ほかの女性もその恩恵を受け、仕事でもプライベートでも様々な挑戦がしやすくなります。それが結果的に「生きやすさ」につながります。ここはやっぱり、数で勝負という側面もあるので、突飛な感じの女性が増えればもうこっちのものです。

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プロフィル

サンドラ・ヘフェリン
サンドラ・ヘフェリン
コラムニスト
ドイツ・ミュンヘン出身。日本在住20年以上。日本語とドイツ語の両方が母国語。自身が日独ハーフであることから、「多文化共生」をテーマに執筆活動中。ホームページ「ハーフを考えよう!」。著書に「なぜ外国人女性は前髪を作らないのか」(中央公論新社)、「体育会系 日本を蝕む病」(光文社新書)など。新著は「ドイツの女性はヒールを履かない――無理しない、ストレスから自由になる生き方」(自由国民社)。
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