新病院開業前から運営資金が不足、県が65億円貸し付け方針…県議「あまりに唐突な話」
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広島都市圏の病院を再編し、広島市東区二葉の里地区に新病院を建設する広島県の計画で、運営主体となる地方独立行政法人の設立と運営に必要な資金が不足していることがわかった。県は2025年度の一般会計当初予算案で、貸付金として65億円を計上し、乗り切る方針だが、県議会からは見通しの甘さを指摘する声が上がっている。(岡本与志紀)
県が新病院の計画を発表したのは23年9月。地上16階、地下1階建てで、一般病床950床と精神病床50床を備え、県内最大規模となる。30年度の完成を目指しており、県立広島病院(南区)と中電病院(中区)、JR広島病院(東区)、広島がん高精度放射線治療センター(同)の4病院を統合し、広島都市圏の医療機関の機能を集約する。
これに伴い、県は今年4月に地方独立行政法人を設立する。同法人は当初、県立広島病院とJR広島病院、さらに県立安芸津病院(東広島市)を運営。30年度からは新病院の経営も行う。しかし、複数の県関係者によると、国から設立の認可を受けるために必要な資金が不足しているという。
同法人は県立広島病院と県立安芸津病院の資金を引き継ぐことになっているが、この合計残高が24年度末に18億円の赤字となる見込みという。総務省の認可基準では、設立後の資金残高を7億円ほど確保する必要がある。県は当初、黒字と想定していたが、両病院の看護師が不足して稼働できる病床が減少したり、人件費が高騰したりした影響で、収益が悪化したという。
県は総務省の認可に必要な25億円の公費投入を決断。貸付期間は23年間で、10年間は返済を猶予し、35年度から年2億円ずつ償還する予定だ。さらに同法人の経営を安定させるため、短期貸付金として40億円を確保した。
県議会への説明は年明けに行われた。新病院の議論に関わってきたある県議は「あまりに唐突な話だったので驚いた。4月まで時間が少ないので、認めるつもりではいる。ただ、開業に向けて様々な懸念をなくしていけるよう、各病院の経営改善に向けた議論を、2月定例会などで煮詰めていく必要がある」と語った。
新病院の建設を巡る県の「誤算」はほかにもある。総事業費を当初、1300億~1400億円と試算していたが、世界的な資材価格高騰に伴って大幅に増額。少しでも費用を抑えるため、解体して立体駐車場にする予定だった隣地のJR広島病院を残し、新病院の施設の一部として活用。立体駐車場は新病院の敷地内に建設するという。
湯崎英彦知事は1月21日の定例記者会見で「開業スケジュールに影響が出ないようにしつつ、コストは抑えるなど、その時点においてベストと思われる選択をしていく」と話した。