<上>知事 甘かった初動対応

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男性職員から「告発文」

男性職員が作成した告発文書
男性職員が作成した告発文書

 斎藤知事に関する疑惑が県政を揺るがしている。真相究明に向け、県議会は強い調査権限を持つ百条委員会を設置。本格的な議論が始まるのを前に経過をたどった。

 「この文書を作ったのは誰なのか」

 「若者・Z世代」など独自色を打ち出した県当初予算案が議会を通過した3月下旬、斎藤は主要な県幹部を集めた場で、いらだちを隠せずにいた。

 斎藤が問題視したのは、「知事の違法行為等について」と題したA4サイズ4枚の告発文書。▽職員に対するパワーハラスメント▽複数企業からの贈答品受領――など7件の疑惑が記されたもので、同月中旬に一部の県議や報道機関に匿名で配布された。

 県政批判の匿名文書が庁内に出回ることは過去にもあったが、斎藤側の意向を受けた県人事課は異例の職員割り出しに着手。真っ先に浮上したのが、県のブログで県政に対する批判的な内容を書き込んでいた西播磨県民局長の男性職員(60)だった。事情を聴取し、公用パソコンを調べたところ、文書を作成していたことが判明した。男性職員は「頑張って働く職員の将来を思って行動した」と説明した。

 斎藤側の動きは速かった。県人事課は3月27日、男性職員を局長から急きょ解任し、4日後の退職予定を取り消した。理由は「調査中」として明かさなかったが、数時間後の記者会見で斎藤がこうまくしたてた。「業務時間中に『うそ八百』を含めて、事実無根の文書を作って流す行為は公務員として失格です」。名誉 毀損きそん に当たるとして県警への被害届を検討するとも強調した。

 県議会に対しては、4月8日に各会派の代表者が集まった場で県幹部の1人が文書の中身も見せず、「あれは『怪文書』です」と強調。一部の県議から異論も出たが、県の内部調査への「一任」を取り付けた。ここまでは斎藤側の思惑通りに事態は動こうとしていた。

     ◆

 急展開したのは、16日だった。産業労働部長が、知事が視察した企業から高級コーヒーメーカーやトースター(計約6万円)を昨年8月に受け取り、内部告発後の3月下旬に返却していたことが判明した。企業は告発文書に記載されていた加西市の会社だった。

 同日午前の県議会委員会。県議の質問に同部長は事実関係を認め、「県のPR目的だった」と釈明した。業務に関係する贈答品の受け取りは県の内規違反となる。斎藤との関係が近いとされる同部長の不適切行為に対し、議会も「『うそ八百』には当たらないのでは」という不信感が高まってきた。

 斎藤はその後の記者会見で自身の関与を否定したうえ、「調査中」を理由に詳細を語らず、被害届の提出についてもコメントを避けた。3月末の時点で県幹部が県警に相談し、「名誉毀損に当たらず」という見解を得ており、すでに提出が難しい状態に陥っていた。

 ある県幹部はこう振り返る。「初動対応がまずかった。『うそ八百』と決めつけず、冷静に対応すべきだった。匿名文書にムキになりすぎていた」

     ◆

 「男性職員を処分します」。5月7日、事態は新たな展開を迎えることになる。(敬称略)

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