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自民党は16日に開いた経済産業部会などの合同会議で、巨大IT企業を規制する新法案を了承した。新法では、アップルやグーグルがスマートフォンのアプリストアを開放する義務などを守らなかった場合、公正取引委員会が、国内対象分野の売上高の20%を「課徴金」として科す。政府は月内にも閣議決定し、今国会での成立を目指す。
現行の独占禁止法では、カルテルなどに科す基本的な課徴金の水準は10%。新法が定める違反行為に相当する「排除型私的独占」では6%にとどまる。新法の課徴金は、これらを大きく上回る水準で、違反を繰り返すと最大30%に引き上げられる。
公取委の調査によると、アップルの「アップストア」でアプリ配信企業などが得た売上高は約1・6兆円(2021年の日本市場)に上る。アップルが売上高から30%の手数料を取ったと仮定すると、課徴金の対象になるアップルの売上高は約4800億円。アップルが新法に違反した場合、単純計算で1年分の課徴金は約1000億円に上る。
法案ではスマホの安全性が損なわれないよう、巨大ITが安全確保に必要な措置を取ることを容認する。安全性を確保しつつ、消費者の選択肢を拡大する。
林官房長官は16日の記者会見で、課徴金について「違反行為を防止するため、違反事業者らに金銭的不利益を課す必要があるとの指摘を踏まえ、検討している」と言及。「アプリストアなどの市場で、公正な競争環境が確保されることを期待している」と述べた。