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暴行でけがを負わせた相手方への賠償金支払いに応じず、裁判所の財産開示手続きに出頭しなかったとして民事執行法違反の疑いで書類送検され、大阪地検が不起訴とした加害者の男性に対し、大阪第4検察審査会が「起訴相当」と議決したことがわかった。賠償金支払いの「逃げ得」を防ぐため、同手続きには2020年4月から刑事罰が導入されており、議決は今回のケースでは刑事責任の追及が妥当と判断した。
裁判記録などによると、男性は16年にタクシー運転手を殴って軽傷を負わせたとする暴行罪で略式起訴され、大阪簡裁で罰金30万円の略式命令を受けた。運転手は17年、男性に約1100万円の損害賠償を求めて提訴し、20年8月、男性に約260万円の支払いを命じる判決が出された。
ところが男性は賠償金を支払わず、運転手が大阪地裁に申し立てた財産開示手続きの期日に出頭しなかった。運転手側の告発を受け、大阪府警は男性を民事執行法違反容疑で書類送検したが、地検は昨年9月、不起訴(嫌疑不十分)とした。
6月9日付の議決は、男性には地裁から期日の呼び出しの書類が届いていたことなどを指摘し、「不起訴には疑義があり、国民の常識で考えると刑事責任は厳しく追及されるべきだ」とした。刑事罰導入の目的は手続きの実効性を高めるためだったと言及し、「法が適用されなければ、改正の意義が損なわれる」と述べた。
議決を受け、地検は再捜査を進めている。再び不起訴になっても、検審がもう一度起訴相当を議決すれば、男性は強制起訴される。
運転手の代理人弁護士は「検審は被害者の怒りを理解してくれた。検察はきちんと受けとめ、判断してほしい」と話した。一方、男性は取材に対し、「裁判所からの書類を開封しておらず、期日の数日後に中身を見た。早く気づいていれば出頭した」などと説明した。
◆ 財産開示手続き =強制執行の対象となる財産を明らかにするため、債権者の申し立てで、裁判所が債務者を呼び出し、財産状況の説明を求める手続き。正当な理由のない不出頭やうその説明をした場合、従来は「30万円以下の過料」の行政罰だったが、20年4月施行の改正民事執行法で「6か月以下の懲役または50万円以下の罰金」の刑事罰が導入された。