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太陽光発電施設から盗まれた銅線ケーブルを違法に買い取った疑いが強まったとして、警視庁などは18日、栃木、茨城両県の金属くず買い取り業者4社を盗品等有償譲り受け容疑で一斉捜索した。金属価格の高騰を受け、ケーブル盗の被害は昨年、100億円に上った。警察当局は不正な買い取りの横行が背景にあるとみて、違法業者の摘発を強化する。
タイ人の男ら「顔パス」で売却
栃木県小山市の買い取り業者には午前10時半頃、警視庁の捜査員ら約20人が段ボールを手に次々と入った。敷地内には金属スクラップなどが山積みにされていた。
捜査関係者によると、警視庁が8~10月に窃盗容疑で逮捕したタイ人の男7人への捜査で、このグループが昨秋以降、関東など1都7県の太陽光発電施設から約100回、銅線ケーブルを盗んだ疑いが浮上。大半が4業者に持ち込まれ、計約4600万円で売却されたことが確認された。
タイ人の男らは「一般客とは別の場所で売買していた」「盗品と知りながら買ってくれた。顔パスだった」と供述しており、警視庁は各業者からパソコンや納品書などを押収し、取引の実態解明を進める。
金属ケーブル盗の被害額100億超
警察庁によると、金属盗は2020年から増加。金属ケーブル盗は昨年、8916件に上り、被害額は約109億円だった。このうち太陽光発電施設での被害が5361件で、今年は上半期(1~6月)だけで4161件に達している。
背景にあるのが金属価格の高騰だ。20年以降、金属のスクラップ価格は上昇傾向で、電気自動車(EV)向けなどで需要が高い銅は、1キロあたり約1131円(昨年平均)と、20年比で約8割高だ。アルミニウムの約185円(同)や鉄の約47円(昨年度平均)と比べて高値で取引されている。
捜査関係者によると、窃盗団は地図アプリで太陽光発電施設を探し、夜間に侵入して特殊カッターでケーブルを切断する。被害の約9割は茨城、栃木、群馬など関東に集中している。
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