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【ニューヨーク=村山誠】投票が始まった米大統領選で、各地の治安当局は警備にあたる警官を増員するなど厳戒態勢で臨んでいる。米社会の分断が深まる中、両陣営の支持者同士らの衝突や選挙結果に反発した暴動が起きることへの不安が高まっているためだ。住民の間には、食料備蓄など外出が困難になる事態に備えた動きも出ている。
■再び板張り
ニューヨーク市マンハッタンでは10月末から、ブランド店などが窓ガラスなどをベニヤ板で覆う作業を始めた。人種差別への抗議活動に乗じた店舗破壊や略奪が相次いだ5月末~6月にも同様の光景が見られた。
ショーウィンドーから陳列商品を撤去していた雑貨店の店員は「警察から選挙を巡る混乱に備えるよう助言があった。何があってもおかしくない」と不安げに語る。食料品店では、「食料の買いだめはした?」「何日分を備蓄すればいいんだろう」などと話しながら、買い物客が水やパンなどを買い込んでいた。
米メディアによると、首都ワシントンやシカゴ、ロサンゼルスなど各地で同様の動きが起きている。
■「敗北受け入れない」
ロイター通信と調査会社イプソスが10月13~20日に行った調査では、トランプ大統領の支持者の41%、民主党のジョー・バイデン前副大統領の支持者の43%が、対立候補の勝利を受け入れないと回答した。トランプ氏の支持者の16%、バイデン氏の支持者の22%が、抗議活動や場合によっては暴力的手段に訴えると答えた。
不正投票が行われる可能性があると主張するトランプ氏は「投票を監視しよう」などと呼び掛けており、武装した極右集団が投票所に集結し左派グループと衝突する事態が懸念されている。どちらの候補が「勝利宣言」を行っても抗議活動や暴動が起こる恐れも指摘されている。
■州兵動員も
各都市の治安当局は不測の事態に備えている。ニューヨークやシカゴなどでは、市警が混乱や暴動を想定した机上演習を繰り返し、投票所などに配置する警官を増員して警備を強化する運びだ。
米メディアによると、ウィスコンシン、ケンタッキー州などでは、新型コロナウイルス禍での投票所運営を支援する名目などで、州兵の動員も計画している。テキサス州のグレッグ・アボット知事(共和党)は10月28日の記者会見で「暴動につながる可能性のある抗議活動にも対処できるよう人員配置を行う」と強調した。
米連邦捜査局(FBI)によると、銃器販売などの際に必要な身元照会件数は今年1~9月、史上最多の約2880万件に上り、前年同期比で4割増えた。米CNNによると、初めて銃を購入する人が急増しているという。ペンシルベニア州ラトローブの主婦ダイアン・バイヤーズさん(57)は「内戦が起きるかもと皆が心配している。身を守るため、先日、人生で初めて銃を買いに行った」と打ち明けた。