完了しました
キャンパスのリニューアル計画などを巡って理事会と評議員会が対立し、ガバナンス(組織統治)不全が問題となっていた工学院大学(東京都新宿区)は18日、問題の経緯を調査した第三者委員会の報告書を公表した。学内の混乱を「主たる原因は理事会側・評議員会側のどちらにもある」とし、執行部の後藤治理事長と2人の常務理事には「経営責任があり、辞任するべき」だと提言した。
報告書は後藤氏らについて、「(リニューアル計画の)説明不足や過度の対抗策を講じることで、紛争を拡大・深刻化させた」と指摘。「プロジェクトの進捗状況をもう少し丁寧に説明していれば、ここまで深刻な事態にはならなかった」と執行部の姿勢を批判した。
一方、リニューアル計画を巡って理事会と対立していた元学長や元監事らについても「評議員に対して不正確な情報を流し、反対の機運を醸成して紛争を拡大させた」と言及。その上で、理事会側の後藤氏と2人の常務理事、元学長と元監事、元理事の6人については今後5年間、大学の重要な役職に就かないよう求めた。
工学院大では、東京・新宿と八王子にあるキャンパスのリニューアル計画を巡り、推進する理事会と諮問機関である評議員会が対立。昨年6月以降は評議員側のボイコットにより評議員会が開けない状況が続いている。このため重要な人事や予算を決めることができず、ガバナンス不全を理由に昨年度の私学助成金は50%減額されていた。
学内の混乱や対立が続いたことについて、第三者委は報告書で「最も大切なステークホルダー(利害関係者)である学生たちに不安と不利益をもたらした」「学生を無視した暴挙であった」と厳しく批判した。
工学院大は報告書を公表したホームページ上で、「調査報告書に従い、再発防止策を講じ、ガバナンスの健全化に努める」との理事長名のコメントを載せた。