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新型コロナウイルスの感染拡大の陰で、インターネット上には多くのコロナ関連のデマやフェイクニュースが飛び交い、社会を混乱させた。読売新聞社の全国世論調査では、23%がネットの偽情報を信じたと答えた。もはや身近な存在といえる偽情報に、どう対処するべきか。
「納豆が効果」「漂白剤飲む」…偽情報次々
総務省が昨年5月に実施したネット利用者調査から、多様な偽情報が広まり、信じられたことがわかる。
コロナ予防法では、「こまめに水を飲む」に効果があると信じたのは回答者の28.7%。「ニンニクを食べる」は14.8%、「納豆を食べる」が9.6%だ。「漂白剤を飲む」という危険なうそも3.1%が信じた。
東京都内の女性(63)も偽情報を信じた一人だ。昨年2月、親戚から無料通信アプリLINEのメッセージを受け取った。
「ウイルスは耐熱性がなく36、37度の温度で死滅します。より多くのお湯を飲んでください」
「中国・武漢の研究者の話」とのただし書きもあった。女性は知人ら約15人に転送したが、直後にうそだと判明した。女性は取材に「コロナ関連の確かな情報がほとんどない状態で、つい信用してしまった」と悔やむ。
「緊急事態宣言が出たら、3週間ロックダウン(外出禁止)」15.5%、「中国が『日本肺炎』という呼称を広めようとしている」28.8%。これら偽情報も一定数信じられていた。
英国では次世代通信規格「5G」の電波が感染拡大の原因とのフェイクニュースが出回り、通信設備が放火される事件が相次いだ。イランでは、燃料用アルコール「メタノール」を飲むと予防効果があるというデマを信じ、500人以上が中毒死したと報じられた。
SNSがウソ拡散…修正も難しく
ネット上の明らかな偽情報まで信じさせ、短期間で多くの人に拡散させた「主犯」は、SNSだろう。
SNSには、考えの似た者同士が集まりやすく、同じような情報に繰り返し触れやすい「エコーチェンバー」作用が働く。検索履歴などから自分好みの情報ばかり届く「フィルターバブル」作用もある。日頃から心地よい似た情報に慣らされ、情報を疑うことが減るようだ。
偽情報の修正も難しい。トイレットペーパーが不足するという情報が流れ、多くの人がSNSで「うそだ」と警告した。この結果、否定されるほどその考えを信じ込む「バックファイアー効果」を招いた。「大量の書き込みに不安を感じ、買う人が増える」との予想も広まり、結局、買い占め騒動が起きた。