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兵庫県の斎藤元彦知事について、同県議会が百条委員会を設置し、パワハラなどの疑惑を調査する事態となっている。疑惑の中身をこれまでの経緯とともに紹介する。
幹部級職員が内部告発、七つの疑惑
疑惑が表面化したのは、前県西播磨県民局長の男性職員が2024年3月中旬に報道機関などに送付した告発文書がきっかけだ。そこには、次の7項目の疑惑が指摘されていた。
〈1〉片山安孝副知事(当時)が「ひょうご震災記念21世紀研究機構」の五百旗頭真理事長(故人)に、副理事長2人の解任を通告し、理事長の命を縮めた。
〈2〉前回知事選で、県幹部4人が知人らに斎藤知事への投票依頼などの事前運動を行った。
〈3〉知事が24年2月、商工会議所などに次の知事選での投票を依頼。
〈4〉視察先企業から高級コーヒーメーカーなどを受け取った。
〈5〉片山副知事(当時)らが商工会議所などに補助金カットをほのめかし、知事の政治資金パーティー券を大量購入させた。
〈6〉23年11月の阪神・オリックス優勝パレードの資金集めで、片山副知事(当時)らが信用金庫への補助金を増額し、企業協賛金としてキックバックさせた。
〈7〉複数のパワハラ。「20メートル手前で公用車を降りて歩かされ、どなり散らす」「気に入らないことがあると机をたたいて激怒」「幹部のチャットで夜中・休日など構わず指示」など。
告発した職員を処分、51年ぶりの百条委設置
斎藤知事は、男性職員(2024年7月に死亡)を解任し、疑惑を「うそ八百」と否定。6月の記者会見でも7項目の疑惑を全て否定して、パワハラ疑惑は「業務上必要な指導」などと釈明した。
一方、男性職員は、3月下旬の読売新聞の取材に、「パワハラ疑惑は全部事実で、職員の間でも有名な話だ」と主張していた。
兵庫県議会は6月13日に、地方自治法100条に基づく調査特別委員会(100条委員会)を51年ぶりに設置すると可決。男性職員が死亡する前、百条委に向けて準備していた陳述書には、「ハラスメントは、県政の重要事項などではなく、知事個人の不満が原因となった
職員アンケートで、さらに新たな疑惑が浮上
百条委が同年8月に公表した職員アンケートの中間報告では、パワハラ疑惑について約4割が見聞きしたと回答。自由記述欄には、「エレベーターに乗り損ねて職員をどなりつけた」「出張した際、手土産として用意されたカニを随行職員が断ったにもかかわらず、斎藤知事が他の職員の分も含めて持ち帰ったと聞いた」など、新たな疑惑も書かれていた。