「再発防止」と言うけれど…不祥事途切れぬNHKの20年を検証「締め付け強化だけでは士気低下」

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「出家詐欺」後に「字幕問題」…繰り返された不適切演出

「クローズアップ現代」を巡る過剰演出問題で記者会見するBPO放送倫理検証委員会の川端和治委員長(当時、左から2人目)ら(2015年11月6日)
「クローズアップ現代」を巡る過剰演出問題で記者会見するBPO放送倫理検証委員会の川端和治委員長(当時、左から2人目)ら(2015年11月6日)

 番組関連では、報道番組「クローズアップ現代」での過剰演出が15年3月に問題化した。前年放送の「追跡“出家詐欺”」で、多重債務者に出家指南するブローカーだと匿名で紹介された男性が、「やらせがあった」と週刊誌で告発したのだ。男性は「自分はブローカーではない」とし「記者から演技の依頼があった」と主張。だがNHKの調査では、記者が意図的に架空の相談の場面を作り上げたとは言えず、「やらせ」はないと判断された。とはいえ、男性がブローカーだとは確認されず、取材の不十分さを指摘。「断定的に伝えたことは適切ではなかった」とした。

 これらを受け、NHKは再発防止策として、取材・制作過程の点検策を発表。匿名インタビューを行う際のチェックシートの導入や、直接制作にかかわらない職員らによる“複眼的試写”の強化などが盛り込まれた。

 ところが、この問題を調査した放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会は、ブローカーとされる男性に、多重債務者の男性が相談する場面を問題視した。番組では、2人が初めて会って会話をしているかのように隠し撮り風の映像として放送していた。しかし、調査の結果、実際は2人は10年来の知人であり、撮影後、取材記者が2人を連れて居酒屋で打ち上げを行ったとし、映像は演出されたものだった、と結論づけた。

 これらの点から検証委は「事実を 歪曲(わいきょく) した」と指摘。この場面はNHKの放送ガイドラインにある「放送の基本的姿勢」や「取材・制作の基本ルール」などの規定にことごとく反しており、「重大な放送倫理違反がある」との意見を公表した。さらに「ガイドラインにいう『やらせ』の概念は視聴者の感覚と距離があり、もっと深刻な問題を演出や編集の不適切さにわい小化することになってはいないか」とNHKの姿勢に疑問を呈した。

重大な放送倫理違反をBPOが指摘したBS1スペシャル「河瀬直美が見つめた東京五輪」
重大な放送倫理違反をBPOが指摘したBS1スペシャル「河瀬直美が見つめた東京五輪」

 不適切な演出はその後も根絶されなかった。21年末放送のBS1スペシャル「河瀬直美が見つめた東京五輪」で、ある男性に匿名インタビューした際、「五輪反対デモに参加しているという男性」「実はお金をもらって動員されていると打ち明けた」との誤った字幕を付していたことが翌年発覚。クロ現問題の際に取り入れられたチェックシートも“複眼的試写”も無視され、BPOの検証委は再び重大な放送倫理違反を指摘した。

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