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日本の領空を侵犯しておきながら「他国の主権を侵す意図はない」と言うだけ。侵犯の事実を認めるのか、それとも単なる一般論を述べただけなのか。判然としない。
曖昧な表現でやり過ごすつもりなら、不誠実と言うほかない。
中国軍機が長崎県・男女群島沖の領空を侵犯した翌日、日中友好議員連盟の二階俊博・自民党元幹事長らが北京を訪れた。
二階氏は、中国共産党序列3位の趙楽際氏との会談で、領空侵犯について遺憾の意を表明し、再発防止を強く求めた。趙氏は中国外務省報道官と同様、「領空侵犯の意図はない。当局間の適切な意思疎通を期待する」と述べた。
中国国防省の報道官も「中国はこれまでも各国の主権を尊重している。過度な解釈をしないように望む」と語った。
領空侵犯したかどうかは事実の問題であり、解釈の問題ではないだろう。解釈の違いを生まないよう、明確な説明をすることが中国側の責務ではないか。
岸田政権は日中関係の安定を重視してきた。中国がそれを良いことに、今回の問題に日本は強い態度で臨めないだろう、と高をくくっているのだとしたら、見当違いも甚だしい。国際規範を順守することが関係安定の基礎である。
木原防衛相は「外交・防衛のルートで発生原因などの説明を中国側に求めている」と述べた。
重大な主権侵害である領空侵犯をうやむやにしたら、中国は更に挑発を強めかねない。日本は、領空・領海を守り抜く意思をきちんと示していかねばならない。
日中両国は昨年、偶発的な衝突を避けるため防衛当局間の専用電話を開設した。こうした仕組みを使い、意思疎通を図るべきだ。
南シナ海の領有権を中国と争う東南アジア諸国も、日本の対応を注視しているに違いない。
フィリピンの排他的経済水域(EEZ)にあるサビナ礁の周辺では今月、フィリピンの巡視船が中国海警局の船に体当たりされ、船体に穴が開いた。
中国軍機は比当局の航空機に対し、至近距離でフレア(火炎)を複数回発射した。重大な事故につながりかねない危険な威嚇だ。
重要な海上交通路である南シナ海の情勢が不安定化すれば、多くの国に悪影響を及ぼす。
中国の横暴を抑止するには、日米豪や東南アジア諸国が連携して対応することが欠かせない。軍事演習や海上保安機関の共同訓練を拡充し、対処能力を高めたい。