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「プレゼン力」高める無料の講座も
職業について学ぶだけでなく、その体験を自分なりにまとめて聴衆の前で発表する活動も、社会に出てから必要な力を育むとして重視されている。3月下旬、東京・丸の内のオフィスビルの高層階で、高校生が希望する進路について学んだ成果のプレゼンテーションを行った。家庭の経済状況が厳しい子どもらを支援するNPO法人キッズドアにJPモルガン証券などが協力し、全国から高校生を公募。参加者は昨秋から週1回程度講座に通い、同社の社員ボランティアなどから少人数のグループごとにリサーチや発表資料の作成について助言を受けた。遠隔地の生徒にはオンラインも活用して、計約100人がプレゼンテーションにまとめる活動を体験した。
この日は地方の生徒たちも招かれ、約30人が発表に臨んだ。今春から大学に進学する女子生徒は「講座に参加して、自分が何をしたいのか、よく考えることができ、発表の仕方も勉強になった。将来は国語の教師になりたい」と笑顔で話した。「海洋生物学者になりたい」という男子生徒や、「具体的なことはまだ分からないけれど、自分のように貧困やいじめに苦しむ子どもたちがいる状況を解決したい」と話す女子生徒もいた。
キッズドアは困窮世帯の子どもを対象に学習支援や放課後の居場所を提供する活動を各地で行っており、自治体からの委託事業も多いが、企業と連携した体験学習の機会も増えている。昨年には、女子中高生が半年間、情報技術とデザインを学ぶプログラムも開催した。家計が厳しく塾などに通えない生徒が対象で、計16回の講座は無料。パソコンを使ってオリジナルTシャツをデザインし、ネットの店舗での販売までを手がけた。最終日には、生徒たちは自分でデザインしたTシャツをまとい、ファッションショー形式で披露した。
この講座は、平井一夫・元ソニー社長が創設した一般社団法人「プロジェクト希望」が支援。代表理事を務める平井さんは「多様な生き方や働き方に接し、将来の希望につながる『感動体験』をしてもらいたい」と話していた。生徒の指導には、千葉大やIT企業のアドビなども協力した。
幅広い活動の提供 企業の支援が必要
困窮世帯の子どもを対象とする様々な体験活動を実現させるためには、企業やNPOなどの幅広い支援が欠かせない。他の団体の活動も取材した筆者が気づいたのは、外資系企業の協力が目立つことだ。どのように社会貢献するかが企業の価値を高めるという意識が浸透しているのだろう。幅広い活動の機会の提供は、次代を担う子どもたちの潜在能力を引き出すことにつながる。社会全体で若者を支えていくために、もっと日本の企業にも多彩な支援を期待したい。
最近は大学の総合型選抜(旧AO入試)や学校推薦型選抜でも、多様な体験や探究的な学習の成果が問われる。高校の新学習指導要領も探究学習を重視しているが、学校ごとの取り組みの差が大きい。補習などの学習支援だけでなく、進路の選択肢を広げる活動が大切だ。
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