利用停止から約50年がたち、草木が生い茂る鵜飼納涼観覧所=岐阜市長良
鵜飼見物に利用されていた頃の鵜飼納涼観覧所(昭和30年代撮影)

 岐阜市は、長良川鵜飼の観覧客向けに金華山麓の長良川岸壁に設置し、長らく廃墟になっていた鵜飼納涼観覧所(同市水風呂谷)の撤去に踏み切る。「納涼台」と呼ばれかつて人気を集めた鵜飼観覧スポットだが、50年ほど前から使われなくなった上、立地上工事が難しく手がつけられていなかった。市は9月3日に開会する市議会定例会に提出する観光事業特別会計補正予算案に、撤去工事の設計委託費として780万円を計上する。

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 「納涼台」は、私営のものが大正時代には設けられていたが、昭和初期に市営で開業。現存する第1棟は1953年に完成した、鉄筋コンクリート造3階建て。鵜飼観覧客向けに有料席を設けていた。県道が隣接するアクセスの良さから利用が多く、61年には2棟目も完成したが、71年以降は使われていなかった。観覧所の上部に県道が新設されて交通の便が悪くなり、客足が遠のいたとみられる。

 工事が困難な場所だったため長年廃虚になっていたが、建物の経年劣化が進み、今後活用の見込みもないことから、国や県との協議の上、撤去することが決まった。工事の設計は2カ年で行い、来年度も1820万円の債務負担行為を設定している。27年の撤去完了を目指す。