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偽造運転免許証で不正に契約したクレジットカードを使ってスマートフォンを購入し、転売益を得たなどとして福岡県警が「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」とみている男12人を詐欺容疑などで摘発した事件では、オンラインでの「本人確認」の緩さを突いた組織的な手口が明らかになった。県警は偽造免許証が様々な不正契約を可能にする「犯罪インフラ」になっているとして警戒を強めている。(丸山滉一)
内見用で解錠
「先ほど電話させていただいた岩本です」
昨年4月、福岡市の住宅街。キャッシュカードの再配達依頼を受けた配達員が築38年のアパート2階を訪れると、部屋の前で男が運転免許証と不在連絡票を見せた。捜査関係者や福岡地裁での公判によると、男は「部屋の中でないと渡せない」とためらう配達員に玄関の鍵を開けてみせ、カードを受け取ったという。
男は今年1月、懲役1年10月が確定した受刑者(31)。偽造免許証には「岩本翔太」の偽名と空き物件である同室の住所が記載され、受刑者本人の顔写真が貼られていた。一部の不動産情報サイトでは内見用として鍵の保管場所が公開されており、この鍵で解錠したとみられる。
福岡県警などは昨年5月に受刑者を逮捕した後、男11人を相次いで逮捕した。グループは同サイトで得た空き物件の住所と偽名などで偽造した免許証約400枚を使ってクレジットカード約500件、銀行キャッシュカード約340件を契約。カードで買ったスマホなどを転売し、約9500万円の利益を得ていた。
目視確認悪用
一連の手口を可能にしたのが、偽造免許証による各種カードの本人確認の「突破」だ。
犯罪収益移転防止法は銀行やカード会社に対し、対面や郵送での本人確認を義務づけている。だが、2018年の同法改正で、顔写真付き身分証の画像と本人の顔写真をオンラインで送らせて照合する方法なども認められるようになった。
グループはこの方法を採るカード会社や、配達員による身分証の目視で本人確認とみなす銀行を狙っていた。空き物件の住所や偽名、口座番号、電話番号などをまとめた表計算ソフトを用意し、カード会社などから問い合わせの電話があっても即答して怪しまれないようにしていたという。
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