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東京都立川市砂川町の「
「一日も早く家に帰ってきますように。家族みんなで待っている」。境内の絵馬掛けには猫への呼びかけや神様への願いが並ぶ。その一方で、「帰ってきました。ありがとうございました」「ずっと一緒に暮らせますように」と、喜びと感謝に満ちた絵馬も交じる。
この神社は、飼い猫が家出をするなど行方不明になった時に、お参りしたり、絵馬を奉納したりすると、不思議と戻ってくるといわれている。そのため、「猫返し神社」と呼ばれ、神頼みをする人が全国からやってくる。
神社の創建は寛永6年(1629年)とされる。砂川地域の総鎮守として、お宮参り、七五三、安産、厄除けなどで、参詣する人も多い。
「猫返し神社」と呼ばれるようになったきっかけを作ったのは、同市在住の世界的ピアニスト、作家の山下洋輔さん(81)。三十数年前、長老猫の「ミオちゃん」が姿を消した。
17日間、近所を探し回っても見つからず、自宅から2キロほど離れた阿豆佐味天神社で、ワラにもすがる思いでお参りすると、「翌日朝、台所のドアでニャーと鳴いていた。驚きましたね」と振り返る。
その後も飼い猫がいなくなるたびにお参りすると、無事に帰ってきたという。「あそこは『猫返し神社』だ、とエッセーなどで書くうちに、愛猫家の間で話題になって」と山下さんは語る。お礼に雅楽「越天楽」を演奏、録音して奉納した。ピアノの調べが今も境内で静かに流れている。
「猫返し神社」の名が広まるとともに、行方不明の猫を心配する相談が増えたことから、神社では「猫返し」専用の絵馬を製作した。
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