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「新たなライフスタイルの選択肢の一つ」
民放の無料動画配信サービス・TVerや、ネットフリックスなどの有料動画配信サービス、さらにユーチューブのような動画投稿サイトの存在感が増す中、テレビを介した放送番組のリアルタイム視聴のニーズは、スポーツ中継などを除けば、以前より減少しているのが現実だ。さらにチューナーレステレビの販売動向も気になるところだ。
チューナーレステレビは、受信料契約の対象となる放送用チューナーがついていない、いわば大型のタブレット端末のようなものだ。家電量販店のビックカメラ池袋本店では、1年ほど前から専用コーナーを開設。担当の瀬出井健斗さんによると、1~2年前は、32~43型程度のサイズしかなかったが、今では43~50型を並べ、それらがおよそ5万~6万円、つまりテレビの32型の予算で購入できるようになっている。
実際に売れ行きも好調なようで、「テレビは見ないが、ユーチューブなどを大画面で楽しみたいというお客様に向けて、新たなライフスタイルの選択肢の一つとして提案しています」。受信料について尋ねてくる客も確かにいるようで、「ちょっと前までは『ネット動画は必須だが、一人暮らしなので受信料は支払いたくない。NHKが映らないテレビはありますか』と尋ねられた。でも今ではストレートに『チューナーレステレビありますか』と聞かれますね」。認知度がさらに増せば、若い世代を中心に今後も需要が拡大するものとみられる。
リアルタイム視聴時代の放送文化、見直す機会
このトレンドは民放にとっても打撃だが、既に報道番組を含め、各局とも配信戦略にアクセルを踏み込んでおり、リアルタイム視聴離れに対応しようと努めている。民放は、今でも放送のリアルタイム視聴に基づくCM収入が収益の柱だが、それでも法の規定により、テレビを持っているかどうかで収入が左右されるNHKとは、経営努力の次元が違う。その意味では、これまで安定財源を保証する要だった受信料制度が、時代の進展によって公共放送運営の首を絞めだしているのは、歴史の皮肉と言えまいか。
こうした動きも踏まえ、NHKは24年度予算で、契約総数が前年度比37万件減と見込むが、今後もプラスに転ずるとは考えにくく、契約総数は右肩下がりの状況が続きそうだ。昨年10月からの受信料値下げによる収入減で、NHKは27年度には現在より1000億円削減した5770億円規模の事業支出で公共放送を運営しなければならない。チューナーレステレビ人気に象徴される放送離れ、さらにじわじわと進む世帯数の減少を考慮すれば、もはやかつてのような受信料収入に戻ることは極めて困難だ。幹部の間からは「10年先は大丈夫かもしれないが……」と将来を不安視する声もあがる。