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NHKによる番組などのインターネット配信を、放送と同等の必須業務とする放送法改正案が今国会に提出された。改正されれば、テレビを持たない人でも受信契約を結ぶことで、地上波番組をネットで見られるようになる。チューナーレステレビ需要など放送離れが進む中、実際にどの程度利用されるだろうか?(文化部 旗本浩二)
スマホ視聴、個人情報登録などで契約義務
現在の放送法では、テレビがあれば受信契約義務が課され、視聴者が支払う受信料で制作されるNHKの番組は、負担した視聴者向けであることが前提だ。そこで番組配信などのネット業務は放送を補完する「任意業務」と位置付けられている。これを必須業務化して、テレビを持たない人も地上波番組をスマートフォンなどで視聴できるようにするのが改正案の柱の一つだ。
必須業務化について議論してきた総務省の有識者会議では、ネット視聴時の費用負担が了承されたが、改正案ではその際にNHKと結ぶ契約を明確に「受信契約」と位置付けた。つまりテレビ所有者と同じ視聴環境にあるとみなし、放送法上の受信契約義務を課すというわけだ。もちろん家庭にテレビがあり、既に受信契約を結んでいる人は追加負担はないし、スマホを持っているだけでは契約義務は生じない。アプリをダウンロードしたり、個人情報を登録したりして積極的に受信の準備を整えた場合のみ、契約義務が発生するというのが改正案だ。
「財政を豊かにするためではない」と言うが…
ネット社会が広がり、放送離れが進む中、テレビを持たない人に番組を配信し、受信料を徴収できるようにすることは、NHKの悲願だった。実際、昨年5月に発覚したBS番組配信問題では、前田晃伸前会長時代の執行部が、衛星波の整理(昨年12月実施)によってハイビジョン画質(2K)の衛星波が実質的に1波削減され、「だったら衛星契約は不要」と考える人が増えることを危惧。そこで衛星契約が前提となるサービスとして、高精細の4K番組の配信が提案されていたことが明らかになっている。これにより、2K番組しか見られなかった視聴者も配信で4K番組を見られるようになるため、地上契約より高額の衛星契約が維持されると考えたのだ。
結局、BS番組については、有識者会議により、当面の間、必須業務化が見送られることになった。今月13日の定例記者会見で稲葉会長は「ネット必須業務化は財政を豊かにするためにやっているわけではない。あくまであまねくNHKのコンテンツを届けるための措置」と述べたが、番組配信が今後の経営上、重要課題なのは間違いない。