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【ワシントン=冨山優介】米航空宇宙局(NASA)は24日、6月に国際宇宙ステーション(ISS)に到着した米ボーイングの新型宇宙船「スターライナー」について、有人での地球帰還を断念したと発表した。機体に複数の不具合があり、リスクが高いと判断した。スターライナーに乗って地球に戻るはずだった米宇宙飛行士2人は来年2月以降、米スペースXの宇宙船「クルードラゴン」で帰還する。
スターライナーは、初の有人飛行試験として打ち上げられたが、ISS到着時に推進装置の一部が故障するトラブルなどが発生した。搭乗したNASAのバリー・ウィルモア氏(61)とサニータ・ウィリアムズ氏(58)のISS滞在は当初、1週間の予定だったが、帰還できない状態が続いていた。
そこでNASAは、ISSに交代要員を定期輸送しているクルードラゴンで2人を帰還させることにした。9月24日以降、通常4人乗りの船内を2席空けてISSに向かい、そこにウィルモア氏らを搭乗させて地球に戻す。2人のISS滞在は8か月を超える見通しだ。
一方、ISSに接続されたままのスターライナーは、9月前半に無人で地球に戻し、故障の原因を調べる。NASAのビル・ネルソン長官は記者会見で、「安全は我々の中核となる価値観だ」と述べ、飛行士の安全を最優先にした判断であることを強調した。