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30代会社員の女性です。母とのコミュニケーションについて悩んでいます。
私は10年以上前に実家から独立し、今は自分の家庭を持っています。60代半ばの母は父と2人暮らしで、大きな病気もなく元気に過ごしています。
母は若い頃から悲劇のヒロイン気取りで愚痴っぽかったのですが、この数年ひどくなっています。冠婚葬祭などでの親戚付き合いについて母に確認しても、まず親戚に関する愚痴を言い始めます。話を終わりまでしっかり聞けば私の問いに答えるのかと思いきや、自己満足して一方的に話を終わらせたり、親戚に対する怒りを思い出して私に八つ当たりを始めたりして、結局答えません。
しかし、冠婚葬祭や家族の体調に関することなど、家族間で共有すべき事柄は発生しますので、母とのコミュニケーションを避けるわけにはいきません。どうしたらいいのでしょうか。(ハンドルネーム:きのこ)
聞く立場に徹し、親戚とは自分ならではの関係を築けばよいのでは?
きのこさんのように、高齢の親とどのように接したらよいのかと悩んでいるという人は多いと思います。
コミュニケーションが難しくなる理由は、いくつかあると思います。
高齢になると、加齢による脳機能の低下で、怒りっぽくなる人がいます。理解力や判断力も衰え、自分の気持ちや不調をうまく伝えられなくなったり、不安やイライラがより起こりやすくなったりします。
また、会話がかみ合わない、質問の答えが返ってこない、攻撃的になるといった変化は、認知症の初期症状である場合があります。あまりに悪化していると感じている場合は、その可能性を考え、場合によってはケアやサポートが必要です。
また、親と子という関係も、問題をより難しくしているのかもしれません。親にとって子どもは、自分が教育すべき存在であり、自分と同じ価値観であることが当たり前だという感覚です。しかし、子どもも成人すれば自立し、親と同じではなくなります。親にその実感がないと、いつまでも自分と同じ価値観である、一番の味方だと思いこむのかもしれません。
このような場合、お母様が求めているのは、ただ「聞いてくれること」と「共感してくれること」のみであるように思います。味方である子どもに「うん、そうだね」「大変だね」と言ってほしいのではないでしょうか。「それは違うと思うよ」「〇〇はどうなの?」は求めていないのだと思います。求めていないことが返ってくると、味方に裏切られた感じがして、時には怒りとなるのではないでしょうか。
親との会話が避けられないのであれば、きのこさんは聞く係に徹する方がよいと思います。負担に感じるかもしれませんが、きのこさんから何かしらの提案をすることでお母様から八つ当たりをされて、ストレスを感じる時間が長くなるよりはよいかもしれません。高齢者特有の怒りっぽさであれば、対話で相手の怒りを止めることは難しい時もあります。攻撃的になったら、落ち着くまで距離をとることも方法の一つです。こちらから何かを伝えなければならない時は、以前より伝わりにくくなっていますので、言葉や伝え方をよりわかりやすくしたり、電話ではなく、表情が伝わりやすくなる対面で話したりする方がよいかもしれません。
また、親戚の嫌な話を聞かされるのはつらいですし、自分まで親戚を見る目が変わってしまいそう、と思うかもしれません。しかし、お母様と親戚の方との関係はその通りなのかもしれませんが、自分と親戚との関係は別です。きのこさんは、もう自分の目でその方を判断できる年齢です。お母様との関係を気にせず、自分で見極めて自分ならではの関係を築けばよいのだと思います。
「なんで自分がグッとこらえて我慢しなければならないのだろう」とイライラしたり理不尽に感じたりする時もあるでしょう。でも、それが高齢になった親への親孝行の仕方の一つなのかもしれません。「母を基礎にし、自分は母を超えて更に大きく成長したのだ。だから今度は自分が大きな心で受け止めよう」と思えるようになると、今度は自分が子どもを見るような目でお母様を受け止めてあげやすいのではないでしょうか。(産婦人科医、タレント 丸田佳奈)