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第106回全国高校野球選手権奈良大会(県高校野球連盟など主催)は22日、橿原市のさとやくスタジアムで準々決勝2試合が行われた。奈良大付は奈良との接戦を制してベスト4に一番乗り。昨夏準優勝の高田商は危なげない試合運びで御所実にコールド勝ちした。23日は同スタジアムで準々決勝の残り2試合がある。第2試合では、昨夏覇者の智弁学園と春の近畿大会4強の天理が対戦する。
高田商 11―1 御所実
高田商は初回、藤井の適時打、林田の3ランで一挙に4点を先制。試合の主導権を握った。四、五回にも押し出しや林田、中東、北村の連続適時打で計7点を加え、圧倒した。
御所実は四回、松岡の適時打で1点を返したが、打線がつながらなかった。
チャンステーマ 編曲し盛り上げ 高田商・吉田さん
○…高田商のスタンドでは、吹奏楽部の吉田優真さん(1年)が編曲したチャンステーマ「チャンス紅陵」が応援を盛り上げた。
楽譜が手に入らず、演奏したことがなかったが、今春、野球部に頼まれ、絶対音感のある吉田さんが譜面作成を引き受けたという。
吉田さんは野球ゲームの音源を聞き、音楽ソフトで譜面を作成。一部に校歌冒頭の「♪葛城走る」の部分の曲調も入れた。
この日は初回の先制のシーンなどで曲を演奏。吉田さんもバリトンサックスで加わった。
高田商は試合に勝利し、準決勝に進出。吉田さんは「自分の作品がチームの力になれてうれしい。甲子園に連れて行ってください」とエールを送った。
奈良大付 2―1 奈良
奈良大付は五回二死三塁で、豆越が適時打を放ち先制。六回にも岡田の適時打で追加点を奪った。投げては、山野が打たせてとるピッチングで、奈良打線を9回1失点で抑えた。
奈良は六回、神谷の適時打で1点差に迫ったが、力尽きた。
<白球賛歌>
奈良3年 清水健次郎投手
仲間信じ 投げきる
奈良大付の四回二死満塁、相手スタンドの歓声が球場に響き渡る。「応援はすごかったけど、逆にそれを楽しんでやろうと思った」とマウンドで開き直った。
普段は、淡々と投球するのが自身のスタイルだ。だが直前まで緊張からか、投球ペースを乱されていた。
3月からバッテリーを組んでいる松本悠斗捕手(2年)は「変化球の制球が定まっておらず、直球で勝負を」と、高めの直球を要求。指示通りの球で打者を打ち取り、大ピンチを無失点で切り抜けた。
試合後半に粘れず逆転負けが続き、苦しい思いをした時期もあった。だが、今大会は、信頼できる仲間に後を託す継投策で乗り越えてきた。この日も相手打線を六回まで2失点で抑え、マウンドを降りた。
吉村貴至監督は「投手として試合を作ってくれた」とねぎらい、松本捕手は「どの球種でもストライクが取れるので、捕手が楽しかった」と尊敬する。
先発の仕事をしっかり果たし「仲間の守備のおかげで投げきれた」。感謝の言葉を残して最後の夏を終えた。(池田光汰)