リンの夢フォーに込め 岳温泉にベトナム料理店 松戸殺害被害女児の父

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亡き娘の思いをかなえ、ベトナム料理店を開いたハオさん(19日、二本松市で)
亡き娘の思いをかなえ、ベトナム料理店を開いたハオさん(19日、二本松市で)

 2017年に発生したベトナム女児殺害事件で犠牲になったレェ・ティ・ニャット・リンさん(当時9歳)の父ハオさん(40)が19日、二本松市の岳温泉にベトナム料理店「ハオグエンショップ」をオープンした。「みんなにベトナム料理を食べてほしい」と語っていた娘の思いをかなえた店で、ハオさんは「多くの人に足を運んでもらいたい。地域の活性化にも役立てれば」と語る。

 店は、岳温泉の一角にある元旅館を購入して改装。約60席あり、リンさんが好きだったベトナムのサンドイッチ「バインミー」や麺料理「フォー」などのメニュー約20種類を提供している。

 初日は午前10時のオープン直後から客が訪れ、ハオさんは「お客さんが喜んでくれてホッとした。団体での宴会もできるように、メニューを充実させていきたい」と笑顔を見せた。牛肉が載ったフォーを注文した同市の末永善洋さん(66)は「さっぱりした素朴な味わい。ボリュームがあるね」と満足そうに話していた。

 ハオさんは事件後、ベトナムに帰ることも頭をよぎったというが、リンさんが生前、母グエンさん(36)と台所に立ち、家庭料理を振る舞ってくれた姿を思い出した。「ベトナム料理をみんなに食べてもらいたい。日本とベトナムの懸け橋になりたい」。そう話していた娘の夢を実現するため、日本にとどまる道を選んだ。

 家族で住んでいた千葉県松戸市に21年に念願のベトナム料理店を開店。だが、コロナ禍で客足が遠のいた上、店舗の狭さもあって採算が取れず、苦しい経営状況が続いた。何とか赤字を補おうと考えていた時、偶然見つけたのが岳温泉の元旅館で、昨秋からオープンに向けて改装作業を進めてきた。グエンさんら家族も今月から二本松市に生活拠点を移し、店の運営を支えている。

 温泉街は、原発事故やコロナ禍で観光客が減り、旅館の廃業も相次いでいる。ハオさんは将来、訪日外国人が安心して宿泊できる温泉旅館を開業し、街を活気づけたいと考えている。ハオさんは「多くの人がここを訪れ、ベトナムのことを知ったり、リンちゃんのことを思い出したりするきっかけになれば」と期待を寄せている。

ベトナム女児殺害事件 2017年3月、千葉県松戸市立小学校の元保護者会会長の男が、登校中だった3年生のレェ・ティ・ニャット・リンさんをわいせつ目的で車に連れ込んで殺害し、遺体を遺棄した。昨年5月に最高裁が被告側の上告を棄却し、無期懲役の判決が確定した。

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