全国最年少町長28歳は元オリエンタルランド社員 町議経験ナシでも立候補を決意させた「今しかない」町の事情

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 7月7日に投開票が行われた東京都知事選の喧騒の裏で、全国最年少町長がひっそりと誕生した。埼玉県のほぼ中央に位置する人口約1万3000人の町、鳩山町の町長選で、28歳の小川知也氏が当選を果たしたのだ。東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドに勤めていた経験を持つ小川氏は「ディズニーランドのような雰囲気の町をつくりたい」と意気込んでいる。

卍巴を大差で勝利

 小川氏は、現職に対し、新人3人が挑む卍巴の選挙戦となった鳩山町長選で、次点となった66歳の現職に、得票率で17ポイント以上の差をつける圧勝で全国最年少の町長の座を勝ち取った。

「結果としてああいう数字になったが、数字は意識せず、とにかく町民の声に応えないといけないという印象で、町民の声を町政に反映させるには勝たないといけないと思っていた」

 選挙戦を小川氏はこう振り返る。選挙戦前の政治活動では、3カ月間で35回、1300人以上の町民を相手に対話集会を重ね、「小川なら声を町政に届けてくれる。若い力が必要だ、と思ってもらえた」と勝因について語る。選挙戦突入後も対話集会を重ねた結果が、他候補との得票数の大きな差に結び付いた。

町議になる余裕なし

 もともと父も祖父も町議会議長を務めた一家の出身。自身は早稲田大学スポーツ科学部を卒業後、オリエンタルランドに入社。フード開発販売部や経理部などで約4年間勤務した後、衆院議員の小森卓郎事務所で秘書などを務めた。

 20代という年齢なら、父や祖父と同じく町議になってから町長というルートもあったと思えるが、本人はこう説明する。

「町議と町長は役目が違う。行政を監査する町議会と行政運営の長である町長。今回の町長選に手を挙げたのは、私の経理部経験を生かして財務分析をした結果、今しか移住政策などに積極投資できるタイミングがないと分かったから。町の純資産は年々2億円ずつ減少している。町の未来への分岐点は今と考えた」

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