イヤホン論争「無線vs有線」どっちが正解?専門家に聞いた

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令和の時代に、いまだに有線イヤホンをお使いになっている方がいらっしゃるなんて考えられません――。読売新聞の掲示板サイト「発言小町」に寄せられたそんな投稿に、様々な意見が噴出しています。電器店などのイヤホン売り場では、無線(ワイヤレス)イヤホンが幅を利かせ、主流になっているようにも見えますが、この投稿への反響(レス)を見ると、有線イヤホンも根強く支持されているようです。最近のイヤホン事情やおすすめ商品を知るべく、専門店を訪ねてみました。

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「スマホじゃなくガラケーを使うようなもの」

投稿したトピ主の「キャンディー」さんは、街を歩いていると、幅広い年代層の人たちが有線イヤホンを使っていることに驚きを隠せません。彼らの様子を「キャッシュレス決済を選ばずに現金を、スマートフォンではなくガラケーをお使いになるようなものです」と例えます。

「一度ワイヤレスイヤホンをお試しいただければ、その快適さに有線などお使いいただけなくなることでしょう。ワイヤレスイヤホンには音質にやや劣る面がありますが、それは多少高価な製品をお選びいただければ解消できる問題です」と持論を展開し、意見を募りました。

他人がどんなイヤホンを使っているのか、気になって仕方がない様子のトピ主さんには、273件ものレスが寄せられました。トピ主さんの強引な決めつけが反発を招き、「人それぞれ」「視野が狭い」などの意見もありました。

写真はイメージです
写真はイメージです

一時期はワイヤレスを使っていたものの、有線に戻したという「もふぞう」さんは、「充電してないと使えないものより、いつでも使える有線の方が私には便利」とその理由を語ります。また、ワイヤレスを外出中に落として紛失した経験もあることから、「ワイヤレスの利便性、快適さを知った上で、有線に戻っております」とコメントしました。

小さい子どもがいる「Blue」さんは、ワイヤレスイヤホンは誤飲の可能性が高いなどの理由から「有線派」であると明かし、「あなたがワイヤレスが使いやすいからといって、全ての人がそうであるわけはないんですよ。もっと視野を広げましょう。私からしたらこういう意見は『大きなお世話』」とバッサリ。

両方使っているという意見も多数寄せられました。音楽ゲームを楽しむ「通りすがり」さんは、「ワイヤレスだと遅延がすごくて使い物にならない」ため、音ゲーをプレイするときは有線、音楽を聴くときはワイヤレスと使い分けをしているそう。「音質が違う」と指摘した「渡り鳥」さんは、「利便性はワイヤレスが優位でしょうけれど、音質を追うのなら、やはり有線がいい」と話し、普段使いはワイヤレス、自宅で音を楽しむ時は有線を使っているといいます。

家事や運動をするときにはワイヤレスを、作曲や動画編集作業では有線を使っているという「らる」さんは、「その時々のシーンに合う物をスマートにチョイスできることが新しい時代のいいところかなと思いますよ。かたくなに新しい物だけを追い求めるのはかえって時代遅れな感性かもしれません」と突っぱねました。

ワイヤレスと有線は「別もの」

充電不要で紛失しづらい――。有線ならではのメリットがあり、多くの人が推していることがうかがえます。実際、有線イヤホンは売れているのでしょうか。イヤホン・ヘッドホンを2万5000点以上そろえる専門店「 e☆イヤホン 」秋葉原店本館(東京都千代田区)で、同店を運営する「タイムマシン」(本社・大阪市)マーケティング本部の 東谷(とうや) 圭人さんに話を聞きました。

同店では、ワイヤレスと有線を買い求める人の割合は半々くらい。「それぞれ特性が異なるので、『別もの』という感覚です」と東谷さん。有線イヤホンを購入する人は、機能性よりも音質や遅延の少なさを重視するといいます。

Bluetooth接続のワイヤレスイヤホンは、音楽データを圧縮してイヤホンに送っています。そのため、音楽プレーヤーと直接つながってデータを圧縮することなく音を伝えられる有線イヤホンより、音質が低くなりやすい傾向にあります。有線イヤホンはじかにプレーヤーに接続しているので音が遅れにくく、動画やゲームを楽しむ際にも適しています。

また、ワイヤレスイヤホンは充電を繰り返すうちに内蔵バッテリーが劣化し、数年後には買い換えが必要になります。そのため、有線イヤホンの方が長く使い続けられる可能性が高いといいます。ワイヤレスは詰め込むパーツが多くなる分、コストがかかり、有線の方が音質に対する費用対効果が高い傾向にあるそうです。

一方、ワイヤレスイヤホンはケーブルが絡まる煩わしさがありません。左右のイヤホンが完全に独立した「完全ワイヤレスイヤホン」のほか、左右のイヤホンが1本のケーブルでつながった「左右一体型イヤホン」など種類が豊富。

最近では、耳にかけて骨や軟骨を振動させて音を伝える「骨伝導イヤホン」の需要が高いそうです。耳の穴をふさがないので、周囲の音を聞きながら音楽を聴くのに適しています。東谷さんは「コロナ禍になって在宅ワークが進み、『オンライン会議が増え、イヤホンを使いすぎて耳が痛い』、『音楽を聞きながら仕事をしつつ、家族の呼びかけにも反応したい』といった理由から、求める人が増えている」とみています。

メーカーがしのぎを削っているワイヤレスイヤホンは、新商品の発売ごとに、周囲のノイズを低減して音を聞きやすくする「ノイズキャンセリング機能」などが向上しています。音質調整ができるアプリが提供されているものもあり、「進化を体感できるのも魅力」と東谷さんは話します。

投稿にもあった「ワイヤレスイヤホンの充電が面倒」といった場合は、連続再生時間が長いものを選ぶと充電回数を減らすことができます。同店では、付属のバッテリー内蔵ケースを併用すれば、最大で78時間使える商品が販売されていました。

「ワイヤレスイヤホンが耳から落ちてしまう」という場合は、イヤホンの先端の「イヤーピース」が耳に合っていない可能性があります。東谷さんは「購入したときに、サイズ違いで3ペアほど付属しています。自分の耳にどのサイズが合うか試しましょう。付属の製品が合わなければ、他社製に変えてみてください」と助言します。

人気の商品は?

ケーブルの有無もイヤホン選びの一つの基準になりますが、東谷さんは、用途に応じて選ぶことを提案します。「それぞれの良さがあるので、通勤電車で音楽を聴くのがメインならノイズキャンセリング機能が付いたワイヤレスイヤホン、自宅で音楽をじっくりと楽しむなら有線イヤホンというふうに使い分けられるといいですね」。

イヤホンはたくさんの商品がありすぎて、何を購入すればいいか迷ってしまうかもしれません。そこで、同店のおすすめ商品を教えてもらいました。

agの「UZURA」
agの「UZURA」
qdcの「SUPERIOR」
qdcの「SUPERIOR」

ワイヤレスイヤホンで売れ行きが好調なのは、ソニーの「WF-1000XM5」(税込み3万8000円、同店での11月9日現在の販売価格)です。「老舗メーカーならではの技術力に信頼が寄せられています」と東谷さん。見た目のかわいらしさと機能性の両方を求める場合には、agの「UZURA」(同9980円)を購入する人が多いそう。「淡いくすみカラーのミントなど7色のカラーバリエーションがあり、丸みのあるフォルムが目をひきます」と東谷さんは説明します。

有線イヤホンで人気なのは、qdcの「SUPERIOR」(同1万2870円)です。「高級感あるデザイン性の高さと、音質の良さを兼ね備えています。いつもより少しいいイヤホンが欲しい人に使ってみてほしいです」。ゲームを楽しむ人には、e☆イヤホンがeスポーツチームと共同開発した「CRAZY RACCOON EARPHONE」(同8580円)をすすめていました。

「イヤホンを買うときは店頭に足を運んでほしい。『低音が強い』『高音が得意』など、音には特徴があり、聞き比べると好みが分かるようになります」と東谷さん。見た目も機能も様々な商品の中から、自分にぴったりのイヤホンを探してみてください。

(読売新聞メディア局 バッティー・アイシャ)

【紹介したトピ】▽ 何故未だに有線イヤホンを使用されるのでしょう?

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4748307 0 大手小町 2023/11/17 06:00:00 2023/11/22 15:55:32 /media/2023/11/20231115-OYT8I50023-T.jpg?type=thumbnail

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