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瀬戸内海の江田島(広島県江田島市)にバスの来ない「バス停」がある。島で少年時代を過ごしたシンガー・ソングライター浜田省吾さん(71)ゆかりの場所として市が昨年末に整備したところ、半年間で2500人以上が訪れる観光名所となった。(呉支局 池尻太一)
浜田さんは少年時代、警察官だった父の転勤で県内を転々とした。島では小学4年から中学1年まで4年間暮らし、小学5年の時に友人宅で聴いたビートルズで、音楽に目覚めたという。
バス停が注目されたのは1992年のファンクラブ会報誌。サングラスをかけ、通学に利用していた、呉市営バス(当時)の山田バス停のベンチに座り、前を通りかかった小学生を眺めながら、当時の自分に思いをはせる写真が掲載された。
バス停の建物は、老朽化で2012年に取り壊されることになったが、浜田さんと交流のあった地元の中学生らの要望で、ベンチと建物の一部は約400メートル南に離れた江田島市立江田島図書館の敷地に移設された。
このベンチを目当てに訪れるファンが途切れないことから、市は昨年12月、約160万円かけて会報誌に載った当時のバス停を再現。「呉市営バスのりば」といった停留所の案内、窓や広告の看板がついた壁を設けるなどファンが、浜田さんがしたようにサングラスをかけて足を組む姿で撮影できるように工夫されている。
妻と訪れた広島市東区の会社員(55)は、「島の豊かな海と山に育まれた感性がロックスター浜田省吾の原点だと感じることができた」と喜び、ベンチで記念撮影していた。
江田島市は4月、「バス停」の前に、ファンから寄贈された貴重なレコードやポスターを展示するコンテナを約120万円かけて整備した。近くの旅館では、浜田さんが島で過ごした少年時代を歌ったとされる「初恋」から着想を得たカクテルを提供するなど地域でファンの来訪を歓迎している。
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