第1部 共同親権<中>

日常の判断 同意いらず 

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進学先 話し合いが必要 

 離婚後に共同親権を選んだ場合、子どもに関する大事なことは父母で話し合って決めることになる。ただ「日常の行為」や「急迫の事情」にあたる事柄は双方の同意がなくても、父母のどちらかで決められるとし、その具体例は政府が法施行までに指針で示す予定だ。国会審議などを基に現時点で想定される生活面への影響や課題をまとめた。

■手当など 

 こども家庭庁などによると、「児童扶養手当」の支給は「子を監護している実態があるか」で判断するため、もし共同親権を選んでも、実際に監護する親の収入などに基づいて支給の可否や支給額が決まるという。政府はこうした各種制度への影響や課題について、関係府省庁の連絡会議で整理を進めていく。

■医療 

 法務省によれば、予防接種や風邪の治療などは「日常の行為」に含まれ、子どもと同居する親だけで判断できる。一方、「心身に重大な影響」を与えるような手術は双方の親の同意が必要になり、合意できない場合は家庭裁判所が親権を単独で行使できる親を判断するという。緊急の手術など「急迫」の際は家裁を経ずに単独での親権行使が可能との見解だ。

■学費支援 

 子どもの進学先は父母が協議して決めるが、学費面の公的支援に影響はあるのか。

 国が高校授業料を補助する「就学支援金」の受給には「親権者」の所得制限がある。文部科学省によれば、共同親権を選んだ場合は別居中の親の収入も合算して判定される見込みのため、支給されない可能性があるとして、当事者らが課題に挙げている。

 一方、国などが大学や専門学校の授業料減免や奨学金の給付を行う「修学支援新制度」や、日本学生支援機構の貸与型奨学金は「生計維持者」の収入などで判定される。そのため、もし別居親と生計が別であれば相手の収入などは基本的には合算されない見通しだ。

 法務省によれば、万一、進学先について父母が同意できないまま、入学手続きの期限が迫る場合は「急迫」とみなされ、同居親だけで入学の是非を決められるとしている。

■引っ越し 

 子どもの転居にも別居親の同意が必要になる。民法は「子は、親権を行う者が指定した場所に、その居所を定めなければならない」(居所指定権)としているからだ。

 法務省は「急な転勤」は「急迫」に当たる可能性があるとするが、「基準があいまい」との指摘もある。

 兵庫県弁護士会は4月、別居親が同意せず、争いになれば家裁での手続きに時間がかかり、生活への影響が大きいとして、居所指定などは同居親が単独で行えるよう求める会長声明を発表した。同会の長谷川京子弁護士は「別居親の同意を前提とすることは、子どもの世話を一手に担う同居親の負担をさらに重くするものだ」と懸念を示す。

■再婚後 

 仮に母親が再婚し、新しいパートナーが親権を得るために養子縁組を結ぶ場合はどうなるのか。法務省によると、子どもが15歳未満の場合は元夫の同意が必要だ。同意がなければ家裁に申し立て、家裁が子どもの意向を聞いた上で、養子縁組を認めるかを決める。認められれば共同親権者が再婚相手に変更される。一方、15歳以上だと子どもが同意すれば元夫の意向にかかわらず、養子縁組ができるという。

 再婚家庭やひとり親家庭を支援するNPO法人「M―STEP」(千葉)の平田えり理事長は「共同親権の導入は再婚家庭にも大きな影響があるが、当事者にあまり知られていない。離婚届の提出時に行政の窓口でパンフレットなどを配布し、どのような影響があるかを周知することが不可欠だ」と訴える。

 昨年離婚し、10代の子どもを育てる母親(50) 
 子どもは元夫と自由に連絡を取り、私も子どもの写真を送っている。離婚しても父親であることに変わりなく、医療や進学など重要な判断に関わるのは、子どもにとって大切。元夫が望むなら、共同親権でも構わないと思っている。

 小学生を育てる40代母親 
元夫は休日に用事を頼んでも、育児の相談をしても応じてくれず、困っていた時に助けてくれなかった。日頃の苦労を分かち合わなかったのに、今さら共同親権を言い出して、進学先の決定などにだけ出てこられるとしたら困る。

双方が養育関与「望ましい」大半 

 18歳以上の2768人が回答した内閣府の「離婚と子育てに関する世論調査」(2021年)によると、未成年の子がいる場合、夫婦の双方か、どちらか一方でも「離婚を望んでいればした方がいい」とした割合は59・3%だった。世代別では30代が74・3%と最も理解を示す一方、70代以上は理解を示す層(47・4%)と否定的な層(48・3%)が 拮抗きっこう していた。

 離婚後も父母双方が養育に関わることは子どもにとって「どのような場合でも望ましい」が11・1%。「望ましい場合が多い」「特定の条件がある場合には望ましい」の合計は80・4%で、関与が望ましくない場合としては「別居親から子への虐待がある」が最も多く挙がった。

 父母が共同で決めるべき事項は「大きな病気をした時の治療方針」「教育」「住む場所」の順に多かった。

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5543351 0 離婚と子ども 2024/07/05 05:00:00 2024/07/05 05:00:00 /media/2024/07/20240705-OYTAI50006-T.jpg?type=thumbnail
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