深刻化するタクシー不足、「ライドシェア」導入に反対する事業者と政治家の関係

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社会部デスク 渡辺晋

 寄付者名に「タクシー」と入力して検索すると、60件が表示された。

検事の不適切発言から考える…取り調べの「可視化」

 読売新聞には、衆参の国会議員が代表を務める資金管理団体と政党支部の政治資金収支報告書を集めた「政治資金システム」というデータベースがある。公開された中で最も新しい2021年分の報告書を対象に調べた。

寄付の総額900万円余りは一端に過ぎない

 60件の寄付者は、タクシー会社や業界団体のほか、地方で業界団体が作る自民党の職域支部だった。寄付先は、国民民主党国会議員の政党支部1件を除き、残りの59件はすべて自民党国会議員の政党支部。60件の総額は900万円余りに上った。

観光客らによる行列ができた、京都駅のタクシー乗り場(6月28日)
観光客らによる行列ができた、京都駅のタクシー乗り場(6月28日)

 これらはタクシー業界から政界に流れた政治資金の一端に過ぎない。「タクシー」という名称を含まない会社名は少なくない。国会議員側が開催する政治資金パーティー券の購入もあるはずだ。

 日本でタクシー不足が深刻化しているという。運転手不足や訪日客の急増が原因だそうだ。業界団体によると、コロナ禍の3年間で、全国のタクシー運転手は約2割減った。

 観光地などでタクシーを待つ外国人客らが長蛇の列を作る光景は珍しくない。公共交通機関の乏しい地方などでも、高齢者を中心に「足」の不足が懸念されている。

米国で体験、配車時料金の確定に安心感

米ロサンゼルスの国際空港に到着後、「Uber」のステッカーが貼られた車に乗り込む乗客(2022年7月10日)=ロイター
米ロサンゼルスの国際空港に到着後、「Uber」のステッカーが貼られた車に乗り込む乗客(2022年7月10日)=ロイター

 今年6月まで2年間住んでいた米ロサンゼルスでは、街中でタクシーをほとんど見かけなかった。とはいえ、「タクシー不足」という声を聞いたことはない。

 米国では、個人が自家用車を使い、乗客を有料で運ぶ「ライドシェア」が定着している。「Uber」や「Lyft」がその代表例だろう。日本では、タクシーの運転手に必要な2種免許を持たない一般人が有償で客を運ぶ行為は「白タク」と呼ばれ、原則禁止されている。

 「本当に大丈夫なのか」。米国で初めてUberを利用する前は、正直おっかなびっくりだった。利用してみると、そんな不安はあっという間に消えた。

「Uber」と「Lyft」のステッカーが貼られた車(2019年3月25日、米ロサンゼルス近郊で)=ロイター
「Uber」と「Lyft」のステッカーが貼られた車(2019年3月25日、米ロサンゼルス近郊で)=ロイター

 スマートフォンのアプリに行き先を入力し、配車を依頼すると、複数の車と到着時間、料金などが表示される。その中から好きな車を選んで申し込むと、車種やナンバー、運転手の名前などが伝えられる。到着した運転手に名前を告げれば、目的地まで連れて行ってもらえる仕組みだ。乗客による運転手の評価も表示される。

 目的地は運転手のスマホに道順とともに表示され、乗車後に伝える必要はない。料金もアプリであらかじめ登録したクレジットカードで自動的に支払われる。

 何よりも、安心で快適なのは、料金が配車を頼んだ時点で確定している点だった。渋滞に巻き込まれようが、運転手が道順を間違えようが、料金が上がることはない。不慣れな異国の地で、その安心感は絶大だ。中米のメキシコや南米のペルーでも利用したが、不安を覚えたことはなかった。

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