《LINEヤフー問題》韓国側は「差別的措置があってはならない」とブチ切れ! ソフトバンク・宮川潤一社長を直撃すると…
週刊文春が4月4日発売号から3号連続で報じた巨弾キャンペーン「LINEヤフー(LY)の暗部」。だが、その第3弾記事の直後から、事態が急変している。韓国側がブチ切れているのだ。
約52万件に及ぶ個人情報漏洩を起こしたLY。同社を巡る資本関係は複雑だが、携帯キャリア大手のソフトバンク(SB)と、韓国IT大手のNAVERが事実上、折半して株式を保有している構図だ。
地上27階建てのNAVER本社ビル
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NAVER側が株の売却を渋っている実情を明かす
「NAVER側がサイバー攻撃を受けたことで、共通の認証基盤を利用するLYにも被害が拡大した。この問題を受け、総務省は『NAVERとの資本関係の見直し』に言及した異例の行政指導に踏み切り、SBにも資本比率の引き上げを検討するよう口頭で要請したのです」(総務省関係者)
小誌4月18日発売号では、SBの宮川潤一社長(58)が激白。SBグループの孫正義会長兼社長(66)の意向も受け、株の買い取り交渉に臨んでいるものの、NAVER側が売却を渋っている実情を明かした。さらに、LY経営陣の総入れ替えにも言及したのだ。
「NAVERへの委託をゼロにする」LYの出(いで)澤(ざわ)剛社長が宣言
すると、猛反発したのが、韓国側だ。保守系の「朝鮮日報」が4月26日付の社説で「経営権の売却を強要するのは事実上、韓国が敵性国であると宣言するようなもの」と指摘。翌27日には、韓国外務省が「韓国企業に対する差別的措置があってはならない」とする見解を示した。
「NAVERの崔(チエ)秀(ス)妍(ヨン)CEOも5月3日に『中長期的な事業戦略に基づいて私たちが決める問題だ』と述べました。LINEの“生みの親”は、NAVERの日本法人を仕切ってきた慎(シン)重(ジユン)扈(ホ)氏(現LY代表取締役)。NAVER側としては、そもそも自身が育て上げ、今も利益を生み出すLINEを手放す道理がないのでしょう」(在韓記者)
これに対し、LYの出(いで)澤(ざわ)剛社長(50)は5月8日の決算説明会で、「NAVERへの委託をゼロにする」と宣言。さらに、慎氏が6月18日付で代表取締役を退任すると発表した。
「出澤氏ら経営陣が考えているのは、慎氏をどう守るか。“NAVER色”が強いため、取締役から外し、批判の矢面に立たせないようにしたのでしょう」(LY元幹部)
今後について、LY広報に伺うと…
加えて、こんな懸念も残っている。
「トーク機能も含めた基幹システムの開発を担っている企業、LINEプラスの存在です。LINEの100%子会社ですが、オフィスは韓国にあり、CEOも韓国人。ここに斬り込まない限り、“脱NAVER”とは言えません」(同前)
日韓問題に発展しつつあるLY問題。当事者たちはどう答えるのか。出澤氏の電話を鳴らし、「今後はLINEプラスへの開発委託もやめる?」と尋ねたが、
「すいません、広報を通して頂けますか」
LY広報は、韓国の反発についてはコメントを控えるとし、「NAVER社とLINEプラス社の開発体制は別のもの。LINEプラス社は、開発業務及び台湾やタイなどの海外事業の統括を行っています。これらについては今後も継続予定です」などと回答した。
SB広報も韓国の反発についてはコメントを控える
では、SBの宮川氏はどう考えているのか。再び本人に直撃した。
――韓国側の反発が報じられている。どう対応する?
「それは、我々がコメントすることではないですよね」
――LINEプラスへの委託は終わらせる?
「LINEの100%子会社なので、このままでいいのかって議論は我々も投げかけている。まぁそれどころじゃないっていう感じ」
――慎氏に続き、出澤氏にも退任を求める?
「そんなことはないですよ」
――最後まで責任を、と?
「はい」
SB広報も韓国の反発についてはコメントを控えるとし、「資本の在り方については両社で協議を続けていきます」などとした。
LY問題は“レッドライン”を越えつつある。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2024年5月23日号)