元ジャニーズJr.・二本樹顕理氏 「誹謗中傷から家族を守るため、日本を離れることにしました」
「東山紀之社長、せめて事実を語ってください」13歳から故・ジャニー喜多川氏による性加害を受けた「ジュニア黄金期」メンバーが苦渋の告白 違和感だらけの交渉プロセスを明らかにする
スマイルアップの本業である補償の交渉プロセスにも、違和感しかないと二本樹氏は首を傾げる。
「弁護士らからなる被害者救済委員会と面談した後、金額が記載された文書が届くのですが……補償を受けるか受けないかの二択しか提示されないのです。被害者の方、何人かに話を聞きましたが皆、『どうやって補償額を決めたのかの根拠や基準が曖昧』と困惑していました」
二本樹氏の補償金額は「現在、救済委員会が算定中」なのだという。スマイルアップ広報は「被害者から要望があれば、可能な範囲で補償金額の算出理由などをご説明しております」と言うが、二本樹氏は「在籍確認の方法にも問題があった」と続けた。
「テレビや雑誌などメディアへの出演が基準にされていたのです(スマイルアップ広報は否定)。しかし、中にはレッスンを受けていただけで、性加害を受けた方もいた。他の芸能事務所に所属していたものの、関係者に紹介されて被害に遭った方もいた。そういった状況も考慮すべきです。『ジャニーズ性加害問題当事者の会』の顧問弁護士と当時の所属者の目撃証言も調査するよう要請したところ、証言できる第三者がいれば在籍を認めるなど一定の前進がありました」
当事者の会の平本淳也代表(57)の尽力が大きかったが、平本代表は体調を崩して辞任している。同会から退会者が続出しているのは「立ち上げ当初から『金目的だ』と誹謗中傷されていたことが一番の原因」だという。そして、かく言う二本樹氏もこの4月で日本を去った。
「昨年2月に子供が生まれたのですが、誹謗中傷で妻の心労が絶えず……夫婦で話し合って、彼女の祖国・アイルランドで子育てをすることにしました。性加害の事実認定と被害者の救済という第一目的は一定の成果を上げたと考えています。ただ、補償を受けたら終わりではない。この経験を生かし、子供たちへの性加害を根絶したい。そう考える仲間と『ワニズアクション』という団体を立ち上げました。オンラインで活動を続けます」
決して求めた未来ではない。それでも、二本樹氏は前を向く。芸能界の後輩たちのために。
取材・文:深月ユリア