恋愛映画を見ると離婚率が減少? あの国民的キャラクターのモデルは「風と共に去りぬ」だった!?恋愛映画にもいろんなトリビアがあるんです!
恋愛映画が好きな人でも苦手な人でも衝撃の研究結果が……。アメリカ・ロチェスター大学の研究によると、パートナーと1カ月に5本、恋愛をテーマにした映画を見て話し合うことが、その後のケンカや別れを予防する対策のひとつとなるのだそう!
これは、ロナルド・ロッジ博士が170組近くのカップルを対象に行ったリサーチで明らかになったこと。恋愛映画を定期的に見ていた新婚夫婦は、3年後の離婚率及び別居率が、平均の半分以下にまで減少したといいます。恋愛映画には、男女がわかり合うことの難しさや喜び、パートナーを大切にするためのヒントがたくさん詰まっているもの。異性を見る目を鍛えるため、冷え切った仲を改善したい、そして、いま以上にパートナーと幸せな生活を築きたいと思っている方は、恋愛映画をぜひ参考にしてみては?
映画史上初のキスシーンを描いた映画は前ページで紹介しましたが、日本映画で初めてのキスシーンはいつだったのでしょう? キスシーンが登場する映画として初めて“宣伝”されたのが、1946年製作の「はたちの青春」(監督:佐々木康)といわれています。当のキスシーンは、ほんのわずかな瞬間、男女の唇が合わさっただけでしたが、「キスが見られる!」と話題になり、映画館は連日多くの人で賑わったのだとか。それを記念して、同作の封切り日の5月23日は「キスの日」となったのだそう!
1953年製作の「ローマの休日」は、ローマを舞台に、小国の王女・アン(オードリー・ヘプバーン)と、一介の新聞記者であるジョー(グレゴリー・ペック)の甘く切ない恋を描いた物語。実は、この映画には、監督のウィリアム・ワイラーとグレゴリー・ペックがオードリーに黙って計画し、アドリブで撮影されたシーンがあるんです。
それは、ローマのサンタ・マリア・イン・コスメディン教会にある「真実の口」の前で、真実の口の中に手を入れたグレゴリー・ペックが、本当に手が噛みちぎられてしまったかのように演じるというもの。叫び声を上げて慌てるオードリーの姿がほほえましいシーンですが、オードリーの驚きは、脚本に書かれていない“アクシデント”を前にした素のリアクションだったのだそう。当時、オードリーは新人女優で、「ローマの休日」はアメリカ映画初主演作。そんな彼女の緊張をほぐすために、仕組まれたアドリブだったといわれています。2人の計画が功を奏してか、同作では初々しく無邪気なオードリーの魅力が存分に引き出され、彼女はアカデミー主演女優賞を受賞しました。
恋愛映画の金字塔「風と共に去りぬ」は、マイケル・ジャクソンが競売に出された同作のオスカー像を所有していたことがあったり、「いまでも世界のどこかで上映されている」という都市伝説があったりと、話題に事欠かない作品。なかでも驚きなのが、日本の国民的キャラクター「アンパンマン」の登場人物が、同作にインスパイアされて生まれたというエピソード!
女王様気質のドキンちゃんは、抜群の美貌と激しい気性を持つヒロインのスカーレット・オハラ。ドキンちゃんが恋い慕うしょくぱんまんは、オハラが慕い続けたアシュレー・ウィルクス。そして、悪さが大好きなばいきんまんは、素行の荒いレット・バトラーがモデルとなっているのだそう。そう言われてみると、確かに納得がいくところがありませんか……?
最後は、恋愛映画の監督にまつわるトリビアをご紹介。まずは、2001年製作の「猟奇的な彼女」。生意気で凶暴なヒロインと心やさしい青年の恋模様を描いたユーモラスなラブストーリーで、韓国で人気を博したネット小説が原作ですが、映画化にあたり、監督のクァク・ジェヨンは、原作の結末をハッピーエンドに変えてしまったのだそう。これは、「観客を幸福な気持ちにするエンディングにしたい」という監督の希望によるもの。結果的には“至福の時間を味わえるラブストーリー”として、公開当時、韓国では恋愛映画として歴代1位の興行収入と観客動員数を記録。日本やアメリカ、インドでもリメイクされるほどの話題作となりました。
一方、アメリカのケヴィン・スミス監督は、自身の失恋体験を元に奥手なコミック作家の恋愛を描いた「チェイシング・エイミー」で、別れた彼女(ジョーイ・ローレン・アダムス)をヒロインに大抜擢しているんです! 名匠ウディ・アレンも「アニー・ホール」で元パートナーのダイアン・キートンをヒロインに起用していますし、映画監督は映画を作ることで自分の過去の恋愛と向き合っているのかも?
おひとり様はこれからの恋に思いを馳せながら、パートナーがいる方はさらなる愛を深めるために、恋愛映画を楽しんでみてはいかがでしょう。映画で描かれる純愛や、恋が成就した主人公たちの姿を見れば、心が温まって寒い冬も乗り越えられるはず!
取材協力:東 紗友美/映画ソムリエ、コラムニスト
1986年生まれ。広告代理店の企画営業として活躍後、フリーランスの「映画ソムリエ」として独立。「日刊ゲンダイ」、「クーポンランド」、ゴルフ情報マガジン「Waggle」などでの連載のほか、テレビやラジオにも出演。映画公開イベントMCとしても活動している。
個人の映画サイト「ヒガシアター。」:https://higashisayumi.net/
公式ブログ「ガシィのイソガシィデイズ」:https://ameblo.jp/higashi-sayumi/
参考文献
村山匡一郎編『映画史を学ぶクリティカル・ワーズ』(フィルムアート社)/やなせたかし『アンパンマン伝説』(フレーベル館)/町山智浩『トラウマ恋愛映画入門』(集英社)