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私生活では、<私の人生の過半は、のろけではなしに妻の背に負うたものだ>と、3月に84歳で死去した典子さんへの感謝を記す。一方で、自分が<好色>だったと書き、複数の愛人や婚外子の存在も明かした。
自伝は99年、東京都知事に当選後、執筆が進まなかったようだ。幻冬舎社長の見城徹さん(71)は、10年ほど前に知らされた。
原稿の存在は、石原さんの子どもにも秘密にするよう言われたという。2021年12月9日、別の本を東京都大田区の自宅に届けた。その際家族もいたが、石原さんは、「これが俺の遺作になるなぁ」と涙を流しつつ、自伝については一切口にしなかった。
著書の終盤は、自分にとって<最後の未知>だと捉えた「死」をめぐる記述が増える。<私は一応の仏教の信者だが、来世なるものをどうにも信じることが出来はしない>と現実主義的な一面を見せながら、<私は人間の想念の力を疑いはしない>と、不可知なものへの共感も記した。
その上で、生涯を総括し、<私の人生はなんの
石原さんは、「国家なる幻影」など政治上の回顧録や「弟」など自伝的要素の濃い小説がある。だが、今著のように死の直前まで書き続けた自伝的なものはないという。
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