閣議後の会見で水俣病について話す伊藤信太郎環境相=5月10日午前8時半すぎ、国会
閣議後の会見で水俣病について話す伊藤信太郎環境相=5月10日午前8時半すぎ、国会

 伊藤信太郎環境相は5月10日の閣議後会見で、新潟水俣病新潟水俣病
1965年、新潟県の阿賀野川流域で公式確認された。阿賀野川上流の鹿瀬町(現阿賀町)にあった昭和電工(現レゾナック・ホールディングス)の鹿瀬工場が、アセトアルデヒドの生産過程で生じたメチル水銀を含む排水を川に流し、汚染された川魚を食べた流域住民が、手足の感覚障害や運動失調などを発症する例が相次いだ。56年に熊本県で公式確認された水俣病に続く「第2の水俣病」と呼ばれる。
の公式確認から59年となる5月31日に新潟市で県が開催する式典に出席しない意向を明らかにした。環境政務官の国定勇人衆院議員(比例北陸信越)を派遣する。

 伊藤氏は自身が出席しない理由について「国定政務官は地元の出身で、状況も分かっている。地元の声を丁寧に聞いてもらい、報告を受けたい」と述べた。

 5月1日に熊本県で開かれた懇談会で環境省が水俣病水俣病
熊本県水俣市のチッソ水俣工場から不知火海(八代海)に流された排水に、毒性の強いメチル水銀が含まれ、汚染された魚介類を食べた住民らに手足のしびれや感覚障害、視野狭窄(きょうさく)といった症状が相次いだ。1956年に公式に確認され、68年に国が公害と認定した。母親の胎内で影響を受けた胎児性患者もいる。根本的な治療法は見つかっていない。新潟県の阿賀野川流域でも同様の病気が発生。この新潟水俣病のほか、イタイイタイ病、四日市ぜんそくとともに、四大公害病と呼ばれる。
被害者側のマイクを遮断した問題を受け、新潟県の患者団体などからは伊藤氏に県式典への出席や懇談を求める声が高まっている。

 新潟水俣病の患者団体など5団体は5月10日、新潟県庁で伊藤環境相に対し、式典への出席と県内の被害者とも懇談するよう求める緊急会見を行った。閣議後会見は、緊急会見に先立ち10日午前8時半すぎから行われた。

水俣病被害者側に伊藤信太郎環境相が直接謝罪

熊本・水俣病患者団体の代表者ら、環境大臣と懇談中にマイクの音消される