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(萬平)みんな隠れろ~!
(銃声)
昭和20年8月15日。
長く続いた戦争が やっと終わりました。
(玉音放送)「朕は 帝国政府をして米 英 支 蘇 四国に対し其の共同宣言を受諾する旨通告せしめたり」。
皆 それぞれの思いを胸に終戦を迎えたのです。
♪「丸まってる背中に もらい泣き」
♪「恥じだって一緒に」
♪「あなたとならトゥラッタッタ♪」
♪「飛行機雲ぼんやり眺む」
♪「心ここに在らず」
♪「年間トータル もししたら」
♪「付き合うあたしすごい?」
♪「とぼけてる眉毛に もらい笑い」
♪「照れだってなんだって」
♪「あなたとならトゥラッタッタ♪」
♪「頑固で面倒で 腹も立つけど」
♪「あなたの情熱は」
♪「あたしの誇りで自慢で覚悟なの」
♪「もらい泣き もらい笑い もらい怒り」
♪「もらいっ恥じ どんと来い!」
♪「晴天も曇天も霹靂も」
♪「さあ あなたとトゥラッタッタ♪」
10月に入ると 学童疎開で大阪を離れていた子どもたちが戻ってきました。
縁故疎開していた克子姉ちゃん一家も大阪に帰ってきました。
(克子)ああ…ここに乾物屋があったのに…。
(ため息)
重ちゃん 重いやろ。大丈夫や。
もうじきやからね 学ちゃん。うん。
♪~
(福子)あ~あ。 よかった~克子姉ちゃんの家は無事で。
せやけど鳥 おらんようになってしもうた。
疎開する前に逃がしてあげたんでしょ。
どっかで元気にしてるわ。
そして 上郡から戻ってきた福ちゃん 萬平さん 鈴さんは克子姉ちゃんの家に居候することになったのです。
タカちゃん しっかりしてきましたね萬平さん。
でも…。
萬平さんの会社は…。
空襲で跡形もなく焼け落ち…。
福ちゃんと萬平さんの家も燃えてしまい…。
福ちゃんの実家 鈴さんの家も跡形もなくなっていました。
(鈴)はあ… もう 立ち直れない…。
お母さんは 武士の娘でしょ。
克子は 分かってない。
克子姉ちゃんかて つらいのよ。忠彦さんのことが心配で。
ああ…。
克子姉ちゃんの旦那様の忠彦さんは…。
終戦から2か月たっても消息が分かりませんでした。
咲姉ちゃんの旦那さんの真一さんも…。
生きているのか 死んでしまったのかも分かりませんでした。
福ちゃんの親友の 敏ちゃんとハナちゃん。
恵さんと牧さん夫婦の消息も…。
♪~
(吉乃)あっ また停電や。
今日も おんなじ。
すいとん。もう飽きた。
文句言わへんの。
しょうゆをかければおいしくなるんじゃないかな。
おしょうゆ頂戴。そんな無駄遣いはできません。
ごめん。
忠彦さんの田舎からの仕送りはどうなったの?
向こうの親御さんに助けてもらって暮らしてたんでしょ あなたたちは。
お母さん!仕送りは止まってます。
どうして?忠彦さんが いないからよ。
子どもたちがいるやない。孫が かわいくないの?
まあ 向こうもいろいろと大変なんですよ。
あっ 明日 上郡に行ってくるよ。
私も一緒に。
食べ物と交換できそうな着物出しとかないと。
私のも持ってって。お母さんのもあるでしょう。
えっ! 私の着物は駄目よ。
代々大切にしてきた値打ちもんばかりなんやから。
そんなこと言うてる場合やないやない。ええやない 克子姉ちゃん。
最初から全部売らなくても。
お義母さんの着物は最後の手段ということで。
何よ 最後の手段って。あっ すいません。
私の着物は 売りません。
お金がないなら私も働く。
私も。僕も。僕も。
あなたたちは そんなこと考えなくていい。勉強してなさい。
勉強でけへん。タカ姉ちゃんが教えてくれるわ。
ええけど私には誰が教えてくれるの。
福子がいるやない。 克子かて私が ちゃんと学校出してあげたんやから。
終戦直後の大阪は何もかもが混乱を極めていました。
ものがないことにつけ込んで儲けている者もいれば生活に必要なものを法外な値段で買わされる多くの庶民たちがいました。
せっけんが 15円!?
何で こんな高いのよ。
何を盗んどるんや!やってへんわ!
なんて 品のない…。
そんな きれい事やないのよ。これは お母さん 戦いなんやから。
アメリカに負けたら 今度は日本人同士で戦わないといけないの。
この着物 買うて下さい。上物ですよ。
50円やな。50円!?
そしたら結構。 ほかで売ります。
ちょお待て。
100円。100円!?
100円…。安すぎる 安すぎる。
いいでしょう。安すぎる!
(権三)根菜切断機?ええ。
ここに野菜を入れてハンドルを回せば…。
(八重)うわあ! いや~。こりゃ どえれぇなあ!
ニンジンでもタマネギでも何でも簡単に みじん切りにできるんです。
便利ですよ 八重さん。
これ 萬平ちゃんが作ったったん?はい。
てぇしたもんだ。
分かった。 八重 米持ってきたり。
はい。ありがたい。
待って 八重さん。着物もあるんです。
着物? いや~ きれい!
しゃあけど こげなええもん着るとこないわ。
誰か買って頂けそうな人いませんか?
町の方に出てみんと…。おらんじゃろなあ。
(汽笛)
福子… 申し訳ない。
僕が もう少し要領よければお前に こんな苦労はかけないのにな。
私は平気。
萬平さんには人にはない才覚があります。
そのうち突拍子もないことを始めて私たちみんなを幸せにしてくれるんです。
そんなもう決まってるような言い方。
そやかて そうなんですから。
私の旦那様は そういう人なんです。
(汽笛)
僕は何もできない… 何もできない!
♪~
あれは…。
へい お待ち。
ラーメンの屋台に こんな行列が…。
ラーメンか。
前に お前と一緒にラーメン食べたな。
覚えてます。
お茶でも どうですか?そしたら…。
(おなかが鳴る音)
お昼 まだなんですか?はい。
思い出したくないけど。
フフ…僕たちが夫婦になった きっかけだ。
忘れちゃいけない。
はい。
へい お待ち。
麺だけ。
そやけど ええ匂い。
じゃあ 食べよう。
萬平さんから どうぞ。
じゃあ 頂きます。
あ~ うん!
うまい!
頂きます。
う~ん おいしい!
あ~ ラーメンや。
あっ はい。いや もっと食べろよ。
代わりばんこ。そうか。はい。
萬平さんがいつも言うてるとおりですね。
ん?
人にとって何より大事なのは 食べること。
ああ。
幸せになる一番手っとり早い方法はおいしいもんを食べることかも。
そうだな。う~ん…。
ごちそうさん。
ごちそうさん。
ラーメン2つ。お願いします。
はいよ。
んん~!
(恵)福ちゃん!んん~!
(牧)ああ!あっ!ああ~!
ハハ… ご無事でしたか!
(恵)萬平さんも。2人ともご無事で。 ハハハハハ。
産まれたんや。うん。
ああ こぼれる! ラーメンが こぼれる!
危ない 危ない 危ない…。
あ~ 元気やった~。


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