政府批判の急先鋒、リベラル紙も
移民に関しては政府に従順

 少し古いが、2010年に「朝日新聞」が、「将来、少子化が続いて人口が減り、経済の規模を維持できなくなった場合、外国からの移民を幅広く受け入れることに賛成ですか。反対ですか」と質問をした時も反対は65%で賛成は26%となっている。世論調査は無作為に選ばれた人たちに電話をかけてサクサク質問を投げかけていくというスタイルであるがゆえに、同じ内容の質問であっても、言い回しや、言葉の表現、質問をする順番で、得られる回答がまったく変わってくるのだ。

 冒頭で申し上げたように、今回の「外国人労働者の受け入れ拡大」が「移民政策」であるのは明白だ。なぜマスコミまでもが、政府と同じように「外国人労働者」というマイルドな表現を踏襲して、国民をミスリードしているのか。

 例えば、政府が「IR推進法」と繰り返し言っているのに、マスコミは「カジノ法案」と言い換えてくどいほど騒ぎ続けてきたことからもわかるように、マスコミ、特にサヨ…ではなくリベラル紙などでは、政府が使う言葉遣いを却下して、「正確にはこう表現した方がいい」と自分たちの言葉へ翻訳して、世の中に触れ回るというのが「平常運転」だ。

 にもかかわらず、なぜが今回の「移民政策」に限ってはそれがない。まるで示し合わせたように「外国人労働者の受け入れ拡大」というマイルドな言葉を用いて、「賛成と反対が拮抗している」というムードまでつくって、政府のナイスアシストをしている。

 反権力で安倍政権叩きが三度のメシより好きな人たちにとっては「異常」ともいえる事態だ。さては、消費税引き上げに関連して新聞の軽減税率を槍玉に上げられるのを恐れたマスコミ業界は、何か弱味でも握られたか。