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昭和19年 夏。
日本の戦況は 次第に悪くなってきました。
6月に北九州が空襲されたことを受けて東条内閣は 学童疎開促進要綱を閣議決定。
子どもら連れて逃げなあかんの?
7月には サイパン島の守備隊が全滅。
そして 東条内閣は総辞職に追い込まれたのです。
これやったら ほんま本土攻撃もありうるよ。
アメリカ軍が攻めてくるの?
大阪も空襲されるんやろか。
(克子)そしたら お母さん私たち行くから。 元気でね。福子も萬平さんも。
(萬平)どうぞ 気を付けて。
(福子)お母さんの言うこと よう聞くのよ。
(4人)はい!
(ため息)
お母さん さみしいの?(鈴)そら さみしいわ。
かわいい孫たちに会えなくなるんやもの。
ほら 行きましょ。みんな ご挨拶して。
(タカ)行ってまいります。(吉乃)行ってきます。
(重之)またね。
学も。(学)さようなら。
さようならなんて言わんといて。
行きましょ。
気ぃ付けてね。何かあったら いつでも連絡下さい。
(克子)ありがとうございます。
♪「丸まってる背中に もらい泣き」
♪「恥じだって一緒に」
♪「あなたとならトゥラッタッタ♪」
♪「飛行機雲ぼんやり眺む」
♪「心ここに在らず」
♪「年間トータル もししたら」
♪「付き合うあたしすごい?」
♪「とぼけてる眉毛に もらい笑い」
♪「照れだってなんだって」
♪「あなたとならトゥラッタッタ♪」
♪「もらい泣き もらい笑い もらい怒り」
♪「もらいっ恥じ どんと来い!」
♪「晴天も曇天も霹靂も」
♪「さあ あなたとトゥラッタッタ♪」
ほんまに大阪も空襲されるんでしょうか。
されないわよ。いや ないとは言えませんよ。
爆弾が落ちてきたら家が燃えてしまうのよ。
冗談やないわ。でも 日本の形勢はあまり よくなさそうですからね。
どうして そんなふうにひと事みたいに言うのよ 萬平さんは。
いや ひと事だなんて思ってませんよ。
家や会社に爆弾落とされたら嫌でしょう。
そりゃあ 嫌ですよ。でも実際 空襲はあるかもしれません。
ほら また そんなふうに ひと事みたいに。いや だから…。
やっぱり 私たちも疎開しませんか?
えっ?私 怖い。
私は 嫌やって言うてるでしょ。家を守らないといけないの。
爆弾が落とされたら家を守るも何もないんよ。
爆弾なんか落ちてきません。いやいや お義母さん。
日本は 負けません。
それより あなたたちは どうして早く子どもをつくらないの?
産めよ 増やせよ。
戦争には行かない。子どもも つくらない。
そういう人は非国民って呼ばれますよ 萬平さん。
申し訳ありません。もう少し待って。 そのうち…。
そのうちって いつ?そのうちは そのうちよ!
それは 明日なの? 今日なの?
ああ もう やめて! 恥ずかしい!もう~!
いい天気だ。
あっ…。あっ ごめんなさい。
いや 痛むのは もっと奥の方なんだ。
でも そうしてくれると少しは楽になる。
ああ…。
お母さんが言うてたことは気にしないで下さいね。
萬平さんの子どもは欲しいけど私は いつでもいいと思ってますから。
何より 萬平さんの体が元どおりになるのが先です。
おいで。
萬平さん。
お前は いい奥さんだ。 僕は幸せだよ。
私も このままで十分です。
♪~
(咲)お母さん。 お母さん。
ああ 咲…。
(咲)今日は お月様が とてもきれいよ。
本当。 きれい。
たまには ゆっくりお月様を眺めてホッとしないと。
咲… 今日 克子と子どもたちが疎開してしまったのよ。
知ってるわ。
福子も 萬平さんと一緒に大阪を出ていってしまうかも。
私を置いて。
福子は 一緒に行こうって言うてくれてるやない。
あの子は萬平さんの方が大事なのよ。
お母さんも大事に思てるわ。
苦労して育てたのに3人とも いなくなるなんて…。
私が そばにいるやない。
咲…。
お母さんは立派よ。 武士の娘ですもの。
この家を しっかり守って下さい。
咲…。
秋が来ました。
田中さんここは もう少し きつく締めて下さい。
(田中)申し訳ありません 社長。
いいんです いいんです。次から気を付けて下されば。
(大林)社長! 東京が…東京が空襲されました!
えっ?
東京が初めての空襲を受けたのは昭和19年11月24日のことでした。
大規模な空襲ではありませんでしたが人々は動揺しました。
(ハナ)これは もう いよいよやね。
(敏子)大阪にアメリカの飛行機が来るわ。
怖い… どないしよう。
ラーメンの屋台が なくなってる。
(敏子)当たり前やない。 こんな時にラーメンなんか作ってられへんよ。
こんな時やからこそ食べたいのに!
福ちゃん…実は疎開することにしたの 私。
えっ…。私も 田舎の親戚を頼って。
そうなんや…。
離れ離れになるけど戦争が終わるまでの辛抱よ。
絶対元気で また会おね!
また ここでラーメン 一緒に食べよね。
みんな いなくなってく…。
♪~
(咲)福子。 福子。
福子。
咲姉ちゃん!
何を迷ってるんよ。もう大阪も危ないわ。
萬平さんやお母さんが何と言おうと逃げなさい。
逃げる?そう。
首根っこ捕まえてでも。
咲姉ちゃん?
夢…。
萬平さん! 萬平さん起きて! ねえ。
やっぱり疎開しましょう。えっ?
大阪から逃げるの。 萬平さん。
咲が?私の夢枕に立ったの 咲姉ちゃんが。
何言うてるの。ほんまやって!
咲は 私の家にいるの。あなたの夢に出てくるわけありません。
もう ほんまやの!福子。
仏壇は ここにあるのよ。
それに咲は 夢枕に立たないの。いつも座ってるの。
立ってました!そんなことは どうでもいいじゃないか。
咲姉ちゃんは 私に言うたの。
お母さんと一緒に大阪から逃げなさいって。
いや 実は 僕も やっぱり疎開した方がいいんじゃないかと思ってたんです。
東京が空襲されたら必ず大阪にも来ます。
兵庫の上郡に 僕の遠い親戚がいるんです。お義母さんも一緒に。
一緒に行こう お母さん。
咲が そんなこと言うわけありません。それは あなたの願望が夢になったのよ。
いや もう 夢がどうとかの話じゃありませんから。
そしたら お母さんの夢に出てくる咲姉ちゃんやってお母さんの願望やない。福子! もっと理性的に話をしよう。
お義母さん ちょっと聞いて下さい。
私は ここを離れません。
ねえ 咲。
逃げろって言うたよね 咲姉ちゃん。
咲…。ほんまに言うたもん!(ため息)
お前とお義母さんは 感情的になり過ぎる。話が本筋からズレるんだよ。
あ~ もう 疎開したいけどお母さんを置いてはいけない。
あ~…。
年が明けて 昭和20年1月。
大阪に アメリカの爆撃機が飛んできたのです。
(空襲警報)・空襲警報発令!
福子。
・空襲警報発令!
福子 起きろ! 空襲だ!
(たま代)あれは 天王寺の辺りや。
天王寺…。
怖いな…。
ああ 今井さん。 ほら あれ 真っ赤や!
ついに来たか。そのうち ここらも やられるぞ。
そして 2か月後の3月4日。
(B29の飛行音)
あ~あ。空襲やなかったんや。
よかった~。
何や あれ!
ば… 爆弾!?
いや… 紙や。
紙?
「此のリーフレットは爆弾であり得たのだ」。
それはアメリカ軍がまいた宣伝ビラでした。
「この無益の戦争に結末をつけるまで幾度となく… 爆撃する」。
萬平さん。
お母さん! お母さん!
分かってる。
2人も 一緒に行こう。
♪~
福ちゃんが 萬平さんと鈴さんと3人で大阪を離れたのは 3月10日。
大阪が大空襲を受ける3日前でした。