これに先立ち、都が設けた「豊洲市場における土壌汚染対策等に関する専門家会議」の平田健正座長は7月末の記者会見で、安全が確保できる地下水位の基準について「全ての観測井戸がA.P.(東京湾中等潮位)+2.4メートル以下で維持されるようにすること、その上でA.P.+2.0メートル前後で地下水位が常時維持されるようにA.P.+1.8メートルを目標管理水位として地下水管理システムを稼働させていくことが望ましい」と説明していた。
そもそも専門家会議は、2017年11月にまとめた報告書の中で、対策として「早期に目標管理水位(A.P.+1.8メートル)まで地下水位を低下させるとともに、地下水位上昇時の揚水性能を強化する」とだけ述べており、+2.0メートルとか+2.4メートルといったバッファーへの言及はなかった。
専門家会議の今年7月の変節ぶり自体、理解に苦しむところだが、週刊ダイヤモンドはその前からダイヤモンド・オンライン上で
「小池都知事の憂鬱、豊洲の地下水位は追加工事でも下がらない!?」
「小池知事最側近が「絶対にできない」と断言!豊洲地下水管理のまやかし」
のように、地下水位を基準値まで下げることがいかに難しく非現実的であるかを再三指摘してきた。
そして、実際の結果はいたってシンプルだ。地下水位は下がらなかった。
台風24号が関東地方に襲来する前の9月19日、1カ所で3メートルを、1カ所で2.5メートルを超えた。21日以降はさらに上昇し、30日に台風24号が来る前に3メートル超の場所が増えた。それも、地下のポンプに加えて、「ウェルポイント工」と呼ばれる、本来は土木工事で一時的に用いられる強力な真空ポンプを、地下水位を観測する井戸のすぐそばに設置するという“裏ワザ”まで駆使しているのに、である。