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♪～
♪「おはよう　世の中」
♪「夢を連れて　繰り返した」
♪「湯気には生活のメロディ」
♪「鶏の　歌声も」
♪「線路　風の話し声も」
♪「すべてはモノラルのメロディ」
♪「涙零れる音は」
♪「咲いた花がはじく雨音」
♪「悲しみに青空を」
♪「つづく日々の道の先を」
♪「塞ぐ影に」
♪「アイデアを」
♪「雨の音で歌を歌おう」
♪「すべて超えて届け」
♪～
（洋二）鈴愛さんそよ風の扇風機は進んでますか？
（鈴愛）あっ…　え？あっ　裕子は　あの扇風機病院の患者さんや　お年寄りや赤ちゃんに優しいって言って出来上がったら　是非　病院に入れたいなんて言ってました。
そうですか。
裕子はね鈴愛さんの話　よくしてました。
何かっていうと「鈴愛はね　鈴愛はね」ってその時の裕子のうれしそうな顔ったら　なくって。
こっちが　やきもちやいてしまうくらいでした。
♪～
（正人）律。
（律）お～　正人。　どうした？ん？　立ち寄り。
ミカデザインのミカさんとこに本の装丁のイラスト取りに。ああ。
鈴愛ちゃんは？仙台。
あ…　とうとう行ったのか。
正人んとこの会社は？　仕事どう？
う～ん　出版も　きついね。しばらく動かないよ。　亀の歩み。
スパロウリズムさんに速達です。
あ…　どうも。ありがとうございます。
連名…。
秋風先生だ。
速達で？開けた方がいいんじゃない？
（秋風）「スズメ　律くん元気だろうか？短い手紙を書きます。人生は希望と絶望の繰り返しです。私なんかそんなひどい人生でも大した人生でもないのにそう思います。でも　人には想像力があります。夢見る力があります。生きる力があります。明日を　これからをどんなにひどい今日からだって夢見ることはできます」。
「希望を持つのはその人の自由です」。
「もう　ダメだと思うかいや　行ける先は　きっと明るいと思うかはその人次第です。律くんとスズメにはその強さがあると信じています」。
「秋風羽織」。
（洋二）あの日の話を少ししてもいいですか？
え？３月１１日です。
はい。
裕子は　いつものように病院に出かけていきました。
あの日　地震が来てそして　津波が来ました。
患者さんを上に上に　上げたそうです。
でも　全員が全員動かせる訳じゃない。
寝たきりな人もいる。
集中治療室にいる人もいる。
はい。
裕子は最後まで動けない患者さんに寄り添ったんだそうです。
♪～
でも　鈴愛ちゃん一人で行かせて大丈夫だったの？
裕子ちゃんと鈴愛の関係は２人のものだから。
俺がいたら　余計かと。
鈴愛は一人で　裕子ちゃんに向き合った方がいいと思った。
そうじゃないと　本当の意味でそれを受け入れたり乗り越えたりできないんじゃないかって。
なるほど。
多分だけど鈴愛は　裕子ちゃんにとってただの親友じゃない特別な存在だったんだと思うんだ。
うん。
だから　俺は　ここにいる。
律は　今までも　遠くにいたり近くにいたりしながら鈴愛ちゃんを守ったんだな。
俺の生まれた意味は　それなんで。
あいつを守るためなんで。
それ　本人に言わないの？
言わないね。
言うなよ。
了解致した。
裕子の携帯が近くに打ち上がってて…。
もう　電話はイカレてしまってたんだけど中に録音したものが残っていて…。
録音？はい。
裕子が　その…遺言と言っていいのかな…。
[℡]え～っと　裕子です。　フフッ。あんまり暗くなりたくないな。フフッ。言いたい事　言います。クウちゃん　ママがいなくなってもしっかり生きるんだよ。絶対　君は大丈夫だからね。洋二さん　ごめんなさい。私　患者さんを置いていく事できません。クウちゃん　よろしく。今まで　ありがとう。ボクテ　ちゃんと漫画描きなよ！私たちの中で唯一の生き残り。売れっ子。　頑張れ。
[℡]鈴愛。　鈴愛　生きろ！最後に暑苦しい事　言って申し訳ないが私の分まで生きてくれ！そして　何かを成し遂げてくれ。それが　私の夢だ。生きろ　鈴愛。
[℡]浅葱さ～ん！
[℡]（裕子）は～い！あっ　呼ばれてる。　じゃあね！
最後まで慌ただしい…。
♪～
♪「あなたの事思うと」
♪「すごく胸があつくなるの」
♪「いつもは　ユーウツな雨も」
♪「サンバのリズムにきこえる」
ユーコ…。
歌ってよ。
♪「それが私のすてきなゆめ」
♪「ユメ」
♪「ユメ」
♪「ユメ」
♪～
♪「ユメ」
♪～
鈴愛。
律　そよ風ファン作ろう。
おう。
鈴愛　生きろ！私の分まで生きてくれ！
そして　何かを成し遂げてくれ。
私は生きてユーコの夢をかなえる。