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(鈴愛)わざわざ日曜にお呼び立てして申し訳ない。(律)申し訳ない。
(正人)いえいえ 暇なので。(津曲)暇じゃないけどね。
(恵子)暇じゃない。
では いきます。
あっ ちょっと! ちょっと待って。心の準備。
あっ じゃあ 準備の間に説明。
この扇風機は羽根が二重構造になってます。
あっ これ。 これ見て。
はい。はい。はい。
外側の羽根と内側の羽根の面積と形そして 角度が変えてあります。
それによって何が起きるかというと風速に差が出ます。そして 速い外側の風が遅い内側の風に引き込まれて渦が壊れます。
外側と内側 速度を変えたら渦が消えるのではないかと思ったんです!
扇風機の宿命である渦が消えると自然のそよ風が再現できるのではないかと。
分かりました?
分かりました?う~ん ちょっと…。
あっ じゃあ!
こちらが従来の扇風機。
この渦が ず~っと続いていく。風が強すぎる。
そして こちらが新作。我々の扇風機の風。
可視化すると ここで渦が壊れまた広がっていく。
これは 自然の風に近いのではないかと。
では いきます。
♪~
♪~
♪「おはよう 世の中」
♪「夢を連れて 繰り返した」
♪「湯気には生活のメロディ」
♪「鶏の 歌声も」
♪「線路 風の話し声も」
♪「すべてはモノラルのメロディ」
♪「涙零れる音は」
♪「咲いた花がはじく雨音」
♪「悲しみに青空を」
♪「つづく日々の道の先を」
♪「塞ぐ影に」
♪「アイデアを」
♪「雨の音で歌を歌おう」
♪「すべて超えて届け」
♪~
確かにさ あの たらいをかぶせた扇風機みたいなやつよりはよかった気がすんだけど…。
うん 何か ふわ~っと包み込む感じはあったけど…。
何か そよ風じゃないんだよね。もう一歩なんじゃない?
う~ん…。 でも いいな~。ん?
俺も もう一回企画開発とかしたいな。
ラーメン屋は?あれは フランスの塩とか使ってごまかしてるだけだよ。 本当はあんまり才能がないんだよ。
そうなの?
俺は サッポロ一丁が一番うまいと思う。えっ。
そよ風の風速 0.8メートル。
…で こっちは 1.7メートル。本当だ。
これ 速度 そよ風より速い!風が強すぎる。
だよなあ…。そんな感触ではあったんだよな。
この 羽根の角度をなんとかすれば風の強さを弱める事が…。
外周羽根先端速度を VとしてV=rω=Dω/2。
マア君 分かんないの?西北大学だよね?
法学部だもん。そういうもんか。
♪~
…って もともと 168!全然駄目!
何にも変わっとらん。
今 何時?何時かな~。
ごめん 正人 つきあわせて。
2人 飯でも食ってきて。
ねえねえ 資金とか どうするの?量産するんでしょ? 扇風機。
うん。 銀行片っ端から門前払い食らってます。
でも へこたれず いろいろと。
ふ~ん そういうの鈴愛ちゃんが やってんのか。
そっか。 まあ 律は駄目だもんね。
律はスパロウリズムの頭脳だから。
フフフッ。 あれ そういえば 今日カンちゃんは?
あっ みいバアバんち。
むうバアバも めえバアバもいるけど。
ふ~ん よく行ってるね。
この前 みいバアバが…あっ 涼ちゃん元旦那のおばさんね。
涼ちゃんに会わせたいって。
カンちゃん取られてまいそうで不安や。
鈴愛ちゃん 大丈夫だよ。
カンちゃんお母さんの事 大好きだもん。
カンちゃんね前 俺と律の間で寝た時夜中に 目 覚まして「ママ! ママ!」ってずっと泣いてたんだよ。嘘…。
フフフッ 本当。
絶対 言わないでねって口止めされた。
あっ 言っちゃった。羽より軽い口。
あっ 懐かしい そのフレーズ。フフフフッ。
鈴愛ちゃんはさ 涼ちゃんさんにはもう気持ち ないの?
ないよ。
だったら…俺と やり直す気ない?
悪い男だね 相変わらず。
フフフッ。
あっ 鈴愛ちゃん 大人になったね。大人の女の発言だ。
フフフッあのころの私とは違うよ。
いろいろあったもん。うん…。
こういうの…こういうの 分かんなくもない。
ドキドキしたりときめいたりしたいもんね。
こういう危うい空気が来る感じとか。
楽しみたい感じも分かる。
冷静。
もう 40だからさ。
少しは変わるよ。
賢くなるよ。
私 一番大事な人分かっちゃったんだ。
もともと分かってたのかも…だけど。
うん。
私 律の前ではずっと変わらないでいられるんだ。
あっ…。
こんなに ひどい振られ方したの俺 初めてかも。
仕返しだ。
あの時の仕返しだ。フフッ。
あっ 律には言わないでね。言わないよ。
そういうのは2人のタイミングだ。
そのタイミングは永遠にない…かもだけど。
何で そんな恋になるのを遠ざける?
振られるのが怖いから。
今のままでいい。
(笛の音)
カンちゃん 何やってんの?
(花野)律 マグマ大使みたいに飛んでこないかなと思って。
あっ カンちゃん。
それ ママの引き出しから出したな勝手に。
フフッ もう一回 見る。ママの宝物引き出し。
フフフッ。
これは カンちゃんが初めて描いてくれたママ。
…で これが初めて書いてくれた手紙。
…で 律の笛。
これ。うん。
…で これは 廉子おばあちゃんにもらった 梟のブローチ。
おおバアバ。そう。
ママのおばあちゃん。オーちゃんの奥さん。
<私があげたんです>
(仙吉)<もともとは 俺があげたんです>
これはね カンちゃんがお嫁さんに行く時に あげる。
うん!あっ この前も言ったか。
フフッ。 カンちゃんの宝物引き出しも見る?せ~の。
これ ママ カンちゃんのまねしてよかったわ。
気分が落ちた時とかこの引き出し開けるだけで幸せな気分になるな。
それは それは!
ここは思い出の場所やな。
思い出?
思い出?
<しかし そよ風の扇風機その後も…>
♪~
うう…。
<なかなか 心地よい速度と強さにはならず…頓挫?>
律。
もう一回 初心に返ってそよ風を浴びてみないか?
えっ…?
お~ 外だ。
気持ちいい~。
この風なんだよな~。
♪~
修次郎。あ…。おう。
そこ おとうさんのオフィスほら 名前変わったんだよ。スパロウリズム。
へえ 何か かっこいい。
入っておいで。 中もね結構 変えちゃったんだけど。
この扇風機 何?
ああ~ これね あの…羽根が二重構造になってるんだよ。
変わってるだろ。
あの そよ風を再現する扇風機。
そよ風?ああ…。
修次郎 よく聞けよ。 いいか?
そもそも 自然の風と扇風機の風っていうのは質が違うんだ。
扇風機の風っていうのはどうしても羽根がついてる。
だから どうしても渦ができてしまう。 そうだよね。
だけど 自然の風っていうのは渦がない。
だから おとうさんは羽根を二重構造にする事によって渦を消してそよ風のような扇風機を作る事に成功した訳だ。
へえ… 何か すげえ。
ハハハハッ ちょっと おいおいすごいとか言うなよ。
おとうさん てれるなそういうの… ハハハハッ。