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[℡]（草太）おねえ　明日帰ってこれるか？お母ちゃんが急変して家で倒れた。
（鈴愛）えっ？
♪～
♪「おはよう　世の中」
♪「夢を連れて　繰り返した」
♪「湯気には生活のメロディ」
♪「鶏の　歌声も」
♪「線路　風の話し声も」
♪「すべてはモノラルのメロディ」
♪「涙零れる音は」
♪「咲いた花がはじく雨音」
♪「悲しみに青空を」
♪「つづく日々の道の先を」
♪「塞ぐ影に」
♪「アイデアを」
♪「雨の音で歌を歌おう」
♪「すべて超えて届け」
♪～
（草太）姉ちゃん。草太。
（草太）律にいちゃんも。（律）うん。
カンちゃんは？あっ　置いてきた。
光江おばさんちに預かってもらった。
そうか。お母ちゃん　どんな感じ？
病室　どこ？
すぐそこだけど。一応　説明しとく。
昨日の夜中に　急に容体悪なって病院来たんや。
ほうか。
（草太）このまま入院して４～５日して落ち着いたら手術する事になった。
手術　来週の予定やったよな。
早い方がええらしい。
（晴）ああ　鈴愛。
何や　律君まで。こんにちは。（宇太郎）おう。
わざわざ来んくてよかったのに。
ごめんね　律君まで。申し訳ないわ。
お見舞い来れてなかったから。
あ～　おとうちゃん何か　飲み物買ってくるわ。
ほれ　草太も。ん？　俺も？
俺も。
あ～　苦しかった。
さっきは　もう死ぬかと思った。
おかあちゃんさすがに気が弱なってまった。
お母ちゃん　大丈夫やよ。　なっ。
おばさん…。
今はなあの３人にしたった方がええ。
何で？晴さん　ああ見えて　策士や。
やらっせるよ～。何を？
律君に　鈴愛をもらってもらおうと思っとる。え？
ハハハハハッ。
まあ　おばさんも年やしな。何があっても　おかしない。
お母ちゃん弱気になったらあかん。
手術すれば助かる。
ほら　昨日の夜は　ちょっと怖なったかもしれんけど。
鈴愛　おかあちゃんはあんたが心配や。
（晴）草太は　ちゃんと結婚して里子さんもおって子どももおって。
お母ちゃん私も　ちゃんと結婚してカンちゃんも　おるよ。
今は　ひとりや。
まあ…　ね。
あ～あ…。
おかあちゃんは誰か鈴愛と一緒におってくれる人がおらんと心配やなあ。
お母ちゃん…。
誰か　いい人…。
おばさん。　俺　今　鈴愛と一緒に新製品を開発してるんです。
えっ　律君と？
ほうや　お母ちゃん。そよ風の扇風機。
こう　まるで　そよ風みたいな自然な風の吹く扇風機や。
これは売れる。
えっ　律君と一緒に？
はい。　俺　鈴愛と一緒に会社立ち上げたんです。
（晴）えっ　会社！？
スパロウリズムっていいます。
スパロウがスズメでリズムがリツ。
はあ～　２人で会社…。
よかった。ほいで　そよ風の扇風機。ええねえ。
その風　浴びてみたいわ。
おかあちゃん生きとらなあかんなあ。
死ねんなあ　その風　浴びるまで。フフッ。
楽しみや。
♪～
律　本気か？２人で会社なんて本気か？
あっ　よかったら　どうすか？一緒にやんない？
いや　律。　私は分かっとる。あれや。　あれやろ？
あの流れやと　お母ちゃんを安心させようと思って思わず言ってまったんやろ？いや　鈴愛。
思わずじゃない。　思ってた。
ほうなんか？
そよ風の扇風機　２人で作ろうよ。きっと楽しい。
作る。　スパロウリズムや。
スパロウリズムや。
♪～
（恵子）う～ん　これ修次郎が作ったの？　すご～い！
（津曲）こういうの　はやってるみたいよ。
タイトル「神様に似ている」。
へえ～　すごいなあ。修次郎　何年生になったんだっけ？
中１？いつ会ったっきり？
１年ぐらい前かなあ。あんま会わせてくれないよ。あれ　何なの？私の新商品。
緑のパン　成功するようにって。いや　違う違う違う。　その上よ。
お母さんのオペは　なんとかってこれ。
（恵子）ああ。　今　鈴愛ちゃん実家に帰ってるの。
お母さん　ガンだとかで　手術。
え…　あっ　そう。成功するといいな。うん。
いや　そういう事って　大々的にこうやって並べて書くもんかね？
フフッ　ちょっと　鈴愛ちゃん独特なとこあるから。
普通　伏せるようなとこ見せてくるから。ああ…。
でも　そういうところが　何かを生み出せる部分じゃないかと思う。
人と違う事って普通の感覚と違う事って何かの種だよ。
そこから　花が咲く可能性がある。う～ん…。
（正人）ねえ　律風って　どこから来るのかな。
そして　どこに行くんだろうね。
その質問に答えるとだなあまず　風っていうのは　空気の移動。
暑い場所に上昇気流が生じるだろ。
すると　そこの気圧が下がり周囲から空気が…。ふ～ん。
まだ説明途中。　これだから文系は。
鈴愛ちゃんのお母さん明日だよね　手術。
うん。
うまくいくといいね。
うん…。
この扇風機が出来たら第１号は晴さんにプレゼントだな。
律は　本当　鈴愛ちゃんが好きだな。
（花火の音）おっ。
花火。　えっ　どこだろ？
神宮球場だよ。５回の裏に花火あがる。
へえ～　どこどこ？
音だけしか聞こえん。　方向が逆だ。
何だ…　そっか。
音だけの花火　何か悔しいな。
終わる恋より　始まらない恋の方がいいのか。
え…？
律と鈴愛ちゃんは。
恋は必ず終わるもん。
夏の花火みたいに。
（花火の音）
♪～
ほんならな　お母ちゃん。頑張れよ。
頑張れって　あんた　全身麻酔や。寝とるうちに終わるわ。
待っとるでな。
待っとるよ。
大げさや。
♪～
姉ちゃん　すげえな。こんな時　よう本読んどれるな。
これは　そよ風の扇風機を作るための資料や。
律が置いてった。
泣いて待っとっても笑って待っとっても一緒や。
草太　お父ちゃん。ん？
私は　お母ちゃんのためにそよ風の扇風機を作る。
おお。
これは　そのための勉強や。風を知る。
＜鈴愛は本当はあのオペ室の中の事を思うと気が気ではありませんでした。でも　こう思っていました。「私は　今の中には沈まん。この苦しさの中には沈まん。未来を見る」と＞
♪～
鈴愛　どうした？
ちょっと　トイレ。
変なやっちゃ。
♪～
楡野さん　目　覚めました？
お母ちゃん！晴さん！
よく頑張りましたね。手術うまくいきましたよ。
♪～