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（律）鈴愛…。
それや。（鈴愛）え？
そよ風の扇風機や！はあ？
そよ風の扇風機を作るんや！
そよ風の扇風機…？
♪～
♪「おはよう　世の中」
♪「夢を連れて　繰り返した」
♪「湯気には生活のメロディ」
♪「鶏の　歌声も」
♪「線路　風の話し声も」
♪「すべてはモノラルのメロディ」
♪「涙零れる音は」
♪「咲いた花がはじく雨音」
♪「悲しみに青空を」
♪「つづく日々の道の先を」
♪「塞ぐ影に」
♪「アイデアを」
♪「雨の音で歌を歌おう」
♪「すべて超えて届け」
♪～
そよ風の扇風機！　描いて　鈴愛！えっ？
絵　絵！こういうのは　まず　ビジョンや。
形があると考えやすい。あっ　そう。
あっ　いや！　悪い　律　ごめん！
カンちゃんのテストの時間終わってまう！あっ　そうか…。
でも　分かった！　描いてみる。そよ風の扇風機。
あんたは何をやっとった？
（あくび）
これ　２問目までしか書いとらん。
（花野）ママ　岐阜弁になってる。
あっ　律と　いたから…。
何や　これ　全然　分からん。
小学２年の問題だよ。
まあ　いいや。
あんたは　どうせ　スケート選手になるもんな。
ええんか！？　そいで！
何　描く？ん？　扇風機。
扇風機？　これ？
あっ　いやそういう普通のとは違う。
そよ風の扇風機だ。何それ！？
秋風先生風に言うと真実の扇風機。
風？　秋風…。
そういえば秋の風を羽織ると書いて秋風羽織…。
（秋風）一見　余計な事する時間も回り道もあっていいと思います。
いろんな事があって全てが今につながっている。
♪～
[℡]
おっ　はやっ。
ふぎょぎょ。
えっ　駄目だった？
いや　というか　これは何だ？
イメージは花だ。
花が回る。　花びらが回る。
う～ん　なるほど。
すぐには　ついていけないがいつか　ついていけるような。
花の真ん中にそよ風の　こびとたちがおってその　そよ風のこびとたちが風車を回すように

風を起こす。
うん。　まあ　そこは俺　考えるから。
本当に考えられるんか？そよ風の扇風機なんて。
鈴愛　俺を見くびるな。
俺は　二十歳の時から　ずっとロボットの研究　開発をしてきた。
今　自分んちの扇風機解体してみたけど…。
フッ　ロボットに比べたら扇風機なんか…。
律　感じ悪いぞ。
気を付けるよ。
君が　かつていた研究所の予算のカットやリストラまがいの事をやらせてつらかったのは分

かる。
でも　２年くらいすれば研究所の課長として戻る事もできるんだよ。いえ。
僕は一エンジニアとしていたいので。
お世話になりました。
萩尾君。　君のような人材が…本当に辞めるのかね。　残念だ。
♪～
うわ～！　ハハッ。　お～。
風や　風！
おっ　風　来た！　計るぞ　風。
（正人）こちら　１．５７。
あ～　１．７３メートル。
何が起こる？　楽しそうだ。楽しそうだ。
いやいや　君たちデータ取りを知らないから。
先は長いよ～。
＜風を計る。律君は　風の計測を始めました。理系の律君は仮説を立てようとしています。

自然に吹く風と　扇風機の風は根本的に何が違うのか＞
（正人）次　いくよ～。
お～　やっぱり　ここまでは吹いてない。
こっちもだな。
圧倒的に　風の範囲　狭いよね。
＜３人は風を知ろうとしていました。そして　お昼休憩中の津曲がそれをけなるそうに見て

いました。あっ　ごめんなさい。私　津曲の相手はしませ～ん＞
（津曲）えっ　何で？
でも　ここ　いいねえ。律の新オフィス。　始まるね。
やはり　自然の風の方が当たる範囲が広いな。
扇風機は　これだけ。（正人）ふ～ん　なるほど。
そういえば　鈴愛ちゃんも屋上で　「タイタニック」みたいに手　広げてたもんね。
指の先まで涼しかった。「タイタニック」は　ちと違わね？
だって　あれ　船の先だろ。
（２人）えっ律　「タイタニック」見てるの？
えっ　そこ？　お前ら　俺を理系のオタクだと思ってるだろ。
うん。　どうした？　鈴愛ちゃんそわそわして。
おトイレ？　行ってくれば？あっ　違う。
もっといたいんだけど　ごめん。
カンちゃんの学童お迎えの時間だ。
おっ　そかそか悪い。あっ　律　これ読んだ。　借りた本。
えっ　マジ？次　くれ。
う～ん　じゃあ…。
これだな。
お前　理解できとるのか？
失礼やな。　私は　風を知る。
おっ　何か　かっこいい。
じゃ！
気を付けてね～。は～い。
さよなら～。
♪「さよなら　さよなら　さよなら」
♪「もうすぐ外は白い冬」
♪「愛したのは　たしかに君だけ」
♪「そのままの君だけ」何や　それ。
＜でも　鈴愛　あの時の傷が癒えていくような気がしました＞
息が　苦し…。
息をする度　泣いてしまいそう…。
＜長く生きているといい事もあるよね。痛かった思い出も笑い話に時が変えるね＞
あっ　この風や…。
あっ　律　窓開けて！　この風や！
♪～
（草太）何や　どうした？
（晴）あ…。
こう…　息を吸い込んでうちを味わっとく。
おかあちゃんうちの匂い　安心するんや。
分かる　分かる。　俺もや。
来週には　病院か。
何や　すぐ帰ってくるやないか。
リンゴ　すりおろしたろか？
ソウちゃん。
ん？フフッ。
あ～　ええ匂いや。
何や。
退職願出した時さ…。ん？
菱松に退職願出した時　部長が「萩尾君本当に辞めるのかね？」って。
ああ　引き止められた？まあ　ふりだけかもしんないけど。
いやいや。
その　ひと言に救われたようなとこあってさ。
救われた？うん。
あれがなかったらともすると　俺菱松より　おっきいとこに転職してやるみたいな。
見返してやるみたいな気になってた気がする。
ここじゃなくて。うん。
分かる気がする。えっ　本当？
正人は　もっと自由でしょ。
俺はちっぽけなプライドの生き物だ。
いやいや男は割と　みんな　そうだよ。
正人。
人生ってのは　根性なんすか？
えっ　何すか？　その質問。
いや　だってさ俺　まだ　心のどこかでもし　扇風機失敗したらここ畳んで　どっか転職しよ

うみたいな思いが…。
まあ　さすがに菱松は戻れないだろうけど。
今までのキャリアでどっか大手とはいかなくてもそこそこんとこ再就職できんじゃないかと

か。
律君　正直。
俺は根性ねえ～。
俺も根性ねえ～。
そうなの？
ないよ。
俺もさ　俺ってさ　アキコさんとつきあってるじゃん？
とても　そうは見えないけどアラフィフ。
というか　ジャスト　フィフティの。まあ　それは５０歳でいいんじゃないか？いやいや　くるん

で　くるんで。
そこは　オブラートでくるんで。でさ　俺　アキコ好きなんだけど。
っていうか　大好きなんだけどでも　こう…プロポーズってなるとちょっと待って。それは待っ

てってこう　何か　迷っちゃう感じが…。ええんか？　正人　そんな事言って。
正直すぎんか？　好感度下がるぞ。
何で岐阜弁や。
[℡]
もしもし。　どうした？　草太。
[℡]おねえ　明日帰ってこれるか？お母ちゃんが急変して家で倒れた。
えっ？