---------------------------

----H----119-----------------
----a-----------------------------
----n-----------------------
----b-u-n-a-o-i--------------
-----------------------------------

---------------------------------------------------------------


（読経）
（晴・小声で）カンちゃんがおらん。
（宇太郎・小声で）カンちゃんは？カンちゃんは？
（草太・小声で）カンちゃんが　おらん。
（鈴愛・小声で）カンちゃんがおらん？
（小声で）どっか行ってまった。
はあ！？
（花野）はあ～　カンちゃん　よく寝たわ。
（律）ふぎょぎょ…。
♪～
♪「おはよう　世の中」
♪「夢を連れて　繰り返した」
♪「湯気には生活のメロディ」
♪「鶏の　歌声も」
♪「線路　風の話し声も」
♪「すべてはモノラルのメロディ」
♪「涙零れる音は」
♪「咲いた花がはじく雨音」
♪「悲しみに青空を」
♪「つづく日々の道の先を」
♪「塞ぐ影に」
♪「アイデアを」
♪「雨の音で歌を歌おう」
♪「すべて超えて届け」
♪～
オーちゃん　冷たかった。ひやって。　ひやひやって。
南極行った夢見て　目が覚めた！
カンちゃんオーちゃんは死んだの。
うん？
オーちゃんは　もういないんだ。
死んじゃったの。
ほら　いつか　夏にカンちゃんが捕まえたカブトムシが死んだように。
あんた　もうちょっとほかの言い方ないんかね。
♪～
（健人の泣き声）
仙吉さん…。おじいちゃん！
泣きづらいわ…。
おじいちゃん　僕本当のおじいちゃんのように…。
（泣き声）
健人　しかたないぞ。
カブトムシも死ぬからな。
え？
あっ　おじいちゃん笑った。
今　笑や～た。ええ？
本当　笑ってるみたいに見えた俺も。
本当に　ええお顔ですな。大往生や。
お疲れさまでした。
お父ちゃん。
♪～
ママ　ママ。ん？
来てね。　すぐ来てね。あっという間に来てね。
うん　これ終わったら行くよ。
（大声で）ママ～！　来て～！
（大声で）は～い！　今　行くよ！
＜それでも　カンちゃんはセンキっつぁんが亡くなってからしばらくちょっと変でした。ママとしか寝なくなりました＞
あっという間に来てって言ったらあっという間に来て！
はい　ごめんなさい。
ママ…。ん？
死んだら　どこへ行く？
う～ん…　天国？
天国？
う～ん…　空の星になる？
空の星…。
でも　ママ　死んだ事ないでよう分からん。
ほやけどカンちゃん。
何も怖ない。
ん？
当たり前の事や。
生まれてきて　生きて　死んでいく。
当たり前の事や。
ず～っと生きとったらもっと怖い。
４００年も５００年も生きたらホラーや。　ドラキュラや！
ドラキュラ！
うん。　死ぬのは怖ない。
あの　カブトムシも怖がってなかったもんな。
うん。　オーちゃんも怖がってなかったよ。
そいで　オーちゃんはカンちゃんがオーちゃんがいなくなって元気なくなったら　悲しむと思う。
えっ　どこで悲しむ？今　オーちゃんは　どこにいる？
カンちゃんの心ん中におってず～っと　オーちゃんはカンちゃんって言っとる。
カンちゃんを助ける。
死んでも　人の思いは残る。
♪～
（和子）こんにちは～。　こんにちは。萩尾です。
・は～い。
あ…。
いらっしゃい。
（鈴の音）
今　鈴愛たち新しい店舗　見に行っとる。
ほうかあ。
おかげさまで　気が紛れとる。
お店　順調なんですか？
うん。来月にはね　出来上がるって。
おじいちゃんもね見てから逝きたかったやろうけど。
自分の五平□のお店。
でも　ええやないかね？（晴）うん？
楽しみにしたまんま逝くっていうのも何か　ええやないかね。
ほやろか？
ねえ　律。や…　そうなの？
う～ん　おかあさんも何か始めてみたいと思った。
仙吉さんが鈴愛ちゃんに五平□教えたみたいに。
私も　誰かと何か　始めてみたい。
…なんて。
おかしいか。　もう先短い。
そんな事ないよ　お母さん。
始めるといいよ。　きっと楽しいよ。
うん。　何やろ。　何　始めるんやろ。
う～ん…。
考えなかんね。
う～ん！
うわ～。うわ～　いい感じですね！
（西園寺）ええやないかね？これやったら　はやるわ！
楽しそうやわ。ここで五平□食べるの。
「ドンキッコ」や。　憧れとった。ヘヘヘヘッ。
…で　あんた　どうする？店の名前。
はあ～　ほうなんやなあ。２号店の名前を決めなかん。
センキっつぁんに決めてもらおうと思っとったんやけどなあ。
急やったもんなあ。
まっ　ほ～んと眠るように逝くっちゅうのはこういう事やくらいええ顔して逝ってな。
羨ましいくらいや。何やろ　うれしそうなこれから　ええ事あるぞみたいな顔しとったな。
今頃　廉子さんに会っとる。
えっ？２号店の名前　聞いたの？
うん！
カンちゃん　何ていう名前？
おおジイジ　何ていう名前付けたいって言っとった？
ないしょ。
何でや？絶対に　ないしょ。
何でですか？　カンちゃん。
カンちゃんオーちゃんと約束した。
絶対に誰にも言っちゃ駄目って。
カンちゃん　オーちゃんとココンタの秘密。
えっ　俺？
俺が聞くの？うん。　律しかおらん。
おじいちゃんの店や。おじいちゃんの五平□を売るんや。
おじいちゃんの付けた名前を知りたい。　それを店に付ける。
うん。ほやけど　あの子は絶対に言わん。
何でも　おじいちゃんに　絶対人に言うなって言われたらしい。
何でや？℡恥ずかしいでや。
おじいちゃんは自分の名付けのセンスにコンプレックスがある。
私の名前も草太の名前も結局　付けられんかった。
ママ　お風呂入るよ。うん。
あっ　カンちゃんちょうどええとこに来た。
何か　律が話あるって。
えっ　いきなりやな…。
もしもし　カンちゃん　こんばんは。
ママもお話聞きたい。
律　今度　タコあげて。
これまた　いきなりな…。
まっ　いいや。　う～ん…。
カンちゃん律　カンちゃんに聞きたい事ある。
な～に？オーちゃんが付けた新しい五平□の店の名前　教えて。
律　ぞんざいや。少しは頭使ってくれ。
まんまやないか。
ゴ…。
えっ？えっ？
ヘ…。
えっ？えっ？
＜今んところ「ゴ」「ヘ」という事です。さて　続きは…？＞