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（藤堂）鈴愛ちゃんは律君の事が好きなんだ！
（鈴愛）何で言う！？　何で　ボクテが言う！？
どうせ言うんやったらどうせ言うんやったら自分で言いたかった！
（律）鈴愛…。
今の話　本当？
♪～
♪「おはよう　世の中」
♪「夢を連れて　繰り返した」
♪「湯気には生活のメロディ」
♪「鶏の　歌声も」
♪「線路　風の話し声も」
♪「すべてはモノラルのメロディ」
♪「涙零れる音は」
♪「咲いた花がはじく雨音」
♪「悲しみに青空を」
♪「つづく日々の道の先を」
♪「塞ぐ影に」
♪「アイデアを」
♪「雨の音で歌を歌おう」
♪「すべて超えて届け」
♪～
えっと…。
本当か嘘かと言われたら本当？　嘘？
どっち　どっちどっち？
私は今　この時どう言えばいいんだろう。
（晴）鈴愛　思っとる事みんな　しゃべっとるよ。
えっとですね…。いや　ごめん　鈴愛。
えっ　ちょ待て。僕は鈴愛の気持ちに応える事はできない。なぜなら　既婚者だからだ。
えっと…　ちょっと待って。以上だ。
ちょ…　待って！
あれ？　私　さっきからちょっと待ってしか言っとらんな。
いや　実は　もう　夏虫の駅の事は前に聞いていた。
嘘！　誰から？
（仙吉）いや　あっちょ…　ちょっと　あれや。
（宇太郎）何や？　おじいちゃん。いやいや　だから　これは若い２人…いや　若ないかもしれんけどこの子んたあ　２人にしたった方がよくないか？
ねえ？　カンちゃんもおるし。
カンちゃん　寝とる。
たぬき寝入りや。その子は　それくらいやる。
あれ？　本当に寝たか。
（草太）そんな事より続き続き。俺は　続き聞きたい。
ほんでもなあ…。ちょっと　ちゃちゃ入れんといて。
誰に聞いた？　夏虫の駅の事。
菜生に。あ…。
鈴愛の口は羽より軽いから。
どうせ自分で菜生ちゃんにしゃべったんやろ？
菜生にも　ブッチャーにも言ったかも。
でも　あれは惜しかった。
あのプロポーズ断ったのは　本当に惜しかった。
ほうか…。
律君にプロポーズ。　ほんな事が。惜しかったね。
ほやけど　お母ちゃんいい事もあった。
律に振られて　漫画家やめて１００均に勤めてまあ　あかんと思っとったら涼ちゃんに出会って花野もできた。
えっ　いい話？
でも　涼ちゃんは　ろくでなしで私は出戻ってまった。
私の人生　波乱万丈や。（裕子）おじさん　何　言ってるの？
いや　ほら　こうやって　芸能人がず～っと身の上を語るテレビがあるやろ。　知らん？
ああ…。
夏虫の駅の話を聞いたのはより子と結婚したあとだった。
何で？　何で　そのタイミングで律に言った？
訳分からん　菜生。　電話。
あんた　やめときなさい。聞いて　どうする？
話が　とっちらかったけどこの際　はっきり言っておきたい。
この前　ともしびで見つめられて「律を支えたい」と。
律を支えたい。
そう言われたけども僕は結婚している。
いや！　違う。　それは違う　律。
私は　ただ　友達として親友として　幼なじみとしてご近所として和子さんの事も　いろいろある律の力になりたいと思った。
そういう事や。
うん　そういう事か。
いや　そういう事だろうとは思ってたんだけどな。
まあ　一応確認。
何か俺　ドキッとしちゃってさ…。
はっきり言っておかなきゃなって勝手に思って。
いやいやいやいやいや…違う違う。
そういうのと違う。うん。
なっ　うん。　そうだよね。分かった。
だから　謝らなくていい。あっ　はい。
こんな　家族の前で公開処刑しなくていい。
私を振らなくていい。
申し訳なかった。いや　ここは　ひとつはっきりさせた方がいい…。うんうんうん　はっきりした。
律　はっきりしたから。
そして　あの　夏虫の駅の事はもう　昔の話だから。
だな。
うん。
こいつ…　人騒がせな。
（足音）あ…。
眠れないの？うん…　ちょっと。
夜の食堂って珍しくて。
いいよ。　ちょっと飲む？
うん。
とんだ　ボクテだったね。
全くだよ…。　信じられん。
そして　明日になったらきっと　やつは何も覚えてない。
でもさ…。ん？
何で　家族全員の前で律に振られなかん？
いやいや振られた訳じゃないって。
律君は　自分の気持ちをしゃべっただけ。２人の関係は　ナチュラルでみんなの中でオープンで小さい頃からでそして　今も　まだ　続いていて家族じゅうに見守られていて…。
私は　じんと来た。
ユーコ　もしかして　何かあった？えっ？
だっていきなり訪ねてくるなんてさ。
自信がなくなった。
さっき言ったでしょ？看護師になるために看護学校行き始めたのが去年。うん。
だんだん実習に出るようになって実際に患者さんのお世話をするようになって結構　へこたれた。
私は所詮　お嬢さんだったんだって思ってね。
秋風先生のところでも結局は　守られてたんだって。
現場は大変。
白衣の天使の夢だけではやってけない。
私は使えないし心ない患者さんにひどい事も言われる。心が折れそうになって…。
鈴愛の顔が見たくなった。
（裕子）どんなに秋風先生に原稿　放り投げられてもそれでも　描いて描いて最後までオフィスティンカーベルに残った鈴愛に会いたくなったんだよ。
今は　何にもやっとらん。
やるよ。え？
鈴愛は何かやるよ。
そうなの？うん。
鈴愛のパワーは　生きる力はすごい。その辺のやつと比べ物にならない。
ありがと。
何か　ユーコに　そう言われると頑張れる気がする。
あの日…一緒にネームやった　あの日。
ほしたら今日は鈴愛の第二の誕生日。
漫画家の鈴愛が生まれた日にしよう。
フフフ…　いいね。
じゃあ　ユーコも漫画家誕生日。
ハハハハッ。　言った　そんな事。
何回だって生まれられるって思う。
人生の中で新しい自分が生まれていく。
ユーコは　今度は看護師さんとして生まれるんやね。
うん。　頑張る。
負けない。
私　ユーコが本物の看護師さんになったら会いに行く！　決めた！
今日　ユーコが来てくれたみたいに私が会いに行く。
仙台に？うん。
フフッ　うれしいな～。
約束。
（裕子）おっ。
てれるな　いい年して。
その顔。　鈴愛の笑顔が見たかった。
おじいちゃん。うん？
おじいちゃん最近五平□作らんの？
ああ…　まあ　つくし食堂といえば草太のカツ丼が有名になったでな。
はい　どうぞ。　お待たせしました。
（龍之介）ほいでな　まっ　あれや。この辺で言ったら俺は　名士やないか？
…で　お前の仕事をいろいろ探してやった。　おい。おい。
（龍之介）ハハハハハハッ。
しかし　まあ　このご時世やなかなかなあ…。
こんばんは。（晴）あっ　いらっしゃい。
あっ　こっちこっち！よっ。よっ。
ビールでいい？あっ　はい。
ヘヘッ。ほいでな　まっ　俺んとこ。
俺んとこ　今　１０人弱？人　使っとるんやけど不動産屋の店員に　もう一人雇えんでもないなあって。ん？
ほやから　うちで雇ったらんでもないぞって話や。
ええ話やないの　あんた。本当？　ブッチャー君。
おばさん　気にしんでもええよ。俺にできる事やったら。
それには及ばん。（龍之介）は？
ブッチャーに使われるくらいやったら物乞いをする。
鈴愛…。
あんた　何を言っとる？
あんた　うちに帰ってきて何日　遊んで暮らしとる？
おばさん…。
ちょっと　私は決めた事がある。
何？
私は人には使われん。
社長をやる。
はあ？