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♪~
♪「おはよう 世の中」
♪「夢を連れて 繰り返した」
♪「湯気には生活のメロディ」
♪「鶏の 歌声も」
♪「線路 風の話し声も」
♪「すべてはモノラルのメロディ」
♪「涙零れる音は」
♪「咲いた花がはじく雨音」
♪「悲しみに青空を」
♪「つづく日々の道の先を」
♪「塞ぐ影に」
♪「アイデアを」
♪「雨の音で歌を歌おう」
♪「すべて超えて届け」
♪~
(笑い声)
(宇太郎)ほんでも ほんでも 鈴愛にこんな田舎まで会いに来てくれてなあ。 ありがたい! アハハハッ!
(裕子)でも いいんですか?お店 閉めちゃって。
(仙吉)いやいや いいの いいの!ハッハッハッ。
いや~ 本当 べっぴんさんや~。
鈴愛とは また違うなあ。こう 都会のべっぴんさんは。
(鈴愛)ユーコ 今 仙台だよね。
仙台も都会やなあ梟町に比べたら。
(晴)お鮨でも取ろうか?こんな うちのもんで…。
(藤堂)ううん こういうのが食べたいんです。 ねっ。はい。
ありがとう ボクテ君。ボクテ?
あっ 僕 「ボクって」ってよく言うから ボクテなんです。
本名 藤堂 誠よろしくお願いします。ああ…。
よろしく。
℡
(和子)はい 萩尾写真館。
あっ 鈴愛ちゃん。 うん。
ありがと。 今日は だいぶ ええわ。
あっ うん 待っとって。
律 電話! 鈴愛ちゃん。
(律)はい もしもし。
お~ ボクテ君が。 裕子ちゃんも。あ~。
お母さんもう 夕ごはん作っちゃった?
ちょっと鈴愛んとこ行ってきていい?
東京の友達 来とる。へえ~ ええやない?
気を付けてね。
お母さん 何を気を付けるんや?
鈴愛んちまで 5分や。
まあ そやけど。
(弥一)律 これ 持ってったらどうや?
おお ふくろうの山。 ええの?
東京から わざわざ見えたんやろ?せっかくや。 地酒のおいしいの。
サンキュー。じゃあ 行ってきます。
行ってらっしゃい。気を付けてな。
また こうやって行ってらっしゃ~いなんてあの子 見送る事あるなんて思わなかった。
フフッ 本当だ。子どもみたい。
子どもだよ。僕たちにとっては ず~っとさ。
ねえ 弥一さん。ん?
鈴愛ちゃんね 律に用事があると必ず うちの電話にかけてくる。
うん? どういう事?ああ 携帯あるのになあ。
鈴愛ちゃんなりに気を遣ってくれてるのよ。
ん?
必ず 律に代わる前に「和子おばさん 調子どう?」って聞く。
ああ そういう事か。鈴愛ちゃんは優しいな。
律も 鈴愛ちゃんと一緒に…。弥一さん。
あ… はい。 ごめんなさい。
ええんやよ。 より子さんや翼が大阪に残った事は私は気にしとらん。
翼の小学校もあるもんなあ。
小学校から受験させんでも…。
裕子ちゃん これから看護師さん なるんか?
はい。 今 看護学校の2年生です。へえ~。
・こんばんは~。あっ 来た。
開いとる! 上がって!
あんた そんな 横着な。出迎えぐらいしなさい。
ありがと。
でも すごいなあ。ユーコ 頑張っとるなあ。
みんな それぞれの道やなあ。
お父ちゃん かっこつけとる。
こんちは~。
わ~ 律君だ!律君 久しぶり。
よう来たね いらっしゃい。あっ おばさん これ。
あ~ ふくろうの山!おじいちゃん ふくろうの山や!
いやいや俺に持ってきた訳やないやろ。
飲みましょうよ おじいちゃんも。本当に?
あんた きれいやなあ。男と思えん。
ねえ 見て これ。 クウちゃん。
えっ イケメン君や。今度 もう中学生だよ。
えっ 見せて見せて。へえ~ 裕子ちゃんの息子さんか。
左が旦那の洋二さん。ほう~。
あっ 俺のも見る?あっ 見る見る!見たい見たい。
え…? えっ 何?
だって 鈴愛ちゃん… 律君。
や… ちょっと待って。ちょ待てよ。
全っ然全然 気にしなくていいから!
もはやはるか 億千年も昔の話でしょ?
そっか。そうでしょ。 はい。
う~ん!
あ… 律に似とる。
息子さん。 奥さんじゃないんだ。あっ スリーショットもあるよ。
あるのか。
う~ん 見覚えある。あの 結婚しましたって葉書の。
その事は忘れてたい。
あ~ あの… 僭越なんやけどどうやろ?
こういう話はその 若者たちだけでなあ。
俺んたあも どう聞いていいか分からん。 なっ 晴さん。
何で。 昔の話や。
ほやけどみんな 大人になったなあ。
年取る訳やな こっちは。
みんな 子どもやったのに大人になって家族ができて 親になってええ事や。 うん。
何で?もう そんな顔で僕を見ないで。
あっ じゃあ 僕も これ。じゃ~ん!できたんだ 彼氏。 美容師さん。
ちょっと ちょっと待て。えっ 何が起こっとる。
男? わしには分からん。
じいちゃん。じいちゃんには カルチャーショックや。
ジェネレーションギャップ&カルチャーショック。
地域格差もあるかもしれん。
ウーちゃん 何 言っとる。しどろもどろや。
(草太)あの すいません。お~ 何や 草太 おったか。
今 上で ちょっとカンちゃん寝かしつけてて。
あっ サンキュー。いや あっという間。 コテッ。
あの お願いが…。
1巻目だけでいいのでボクッテさん サインを!
あんた いつの間に。
鈴愛。
ここに布団敷くんでいいんだよね。雑魚寝になるけどオフィスティンカーベルで慣れてるもんね。
やばい。 下。
え?
てか 何? この部屋。
この前まで謎のアメリカ帰りが住んどった。
だからね 僕は律に聞きたいの。
夏虫の駅で 鈴愛ちゃんにプロポーズしたんでしょ!?
ボクテは ほとんど飲めない。
何か今日 うれしすぎて飲んでしまった。ええ…。
ちょっと待って ちょっと待って!もしかして もう言っちゃった?
律の奥さん見に 大阪まで行ったとか言っちゃった?
え?(藤堂)あっ!
それは まだ言ってなかった。あったね~ そんな事も。
いや 今 姉ちゃんがストーカーだった…そしてそれが今 家族の前で明かされた。
そういえば 何か より子が 昼間に変な女が来たって言っとった事が。
それは どうでもよくって。
僕ってが よくって。
鈴愛ちゃん 夏虫の駅のプロポーズ断ったでしょ?
ああ 無理って。
僕はね… 僕って 乙女だから純粋だから ピュアだから。
「僕って」って言ったね。おじいちゃん。 おじいちゃん。
2人が擦れ違ったままとか絶対に嫌なの。え?
2人が誤解したままとかあるべきじゃないって思う!あの日ね。あの日あの時あの場所で鈴愛ちゃんが律君のプロポーズを無理って言ったのは…。
(足音)
(花野)ママ おしっこ…。
ええ仕事するなあ カンちゃん。
あ… じゃ ババが連れてこうか。逃げる気やな 晴さん。
いや オーちゃんが。俺は聞くよ。
ここで続きを。 ええとこや。
ちょっと待って カンちゃん。え~っと…ママが今 ここを離れるのは。
あっ カンちゃん律に連れてってもらいなさい。
え?律 おしっこ。あ… はい。
あの 外で待ってるだけで大丈夫だから。 一人でできるから。
はい。
ボクテ!な~に~?
今すぐに 酔いをさましてほしい!あっ お母ちゃん お水。
えっ? あっ はいはい。できるなら バケツで。
頭からバシャ~ッと。
あの~ でも ここは いっその事本当の事を律君に知らせるってのもあるんじゃないですか?あるの?
だって おばさん鈴愛も離婚して戻った訳だし。
いやいや 裕子ちゃん律君には奥さんと子どもが…。
あ… そかそか。
あっ 不倫?ちょっと おじいちゃん。
おじいちゃんから そんな言葉が。あっ 略奪愛か!?
(草太)女性週刊誌の読み過ぎや。
(花野)あ~ すっきりした!
カンちゃん 寝んでもいいの?
カンちゃん 目 覚めたわ。
あの日 夏虫の駅で鈴愛ちゃんが律君のプロポーズを無理って言ったのは…。
えっ 続くの? ボクテ。子どもおる。 カンちゃんがおる。
あっ おまかいなく。おまかい?
おかまいなくや。
無理って言ったのは?
律君を嫌いだって言った訳じゃないんだ。
あの時 鈴愛ちゃんはちょうど デビューしたてで僕は 鈴愛ちゃんの漫画をパクってクビになり裕子ちゃんは結婚してそこをやめていき一人残った鈴愛ちゃんはオフィスティンカーベルを秋風先生のところをやめる訳にはいかなかった。東京を離れる訳にはいかなかった。そのために無理って言っただけなんだ。
本当は 鈴愛ちゃんは律君の事…。
いや ちょ~っと待って!何か いい話のとこ申し訳ないような気にもなるけどちょっと待って!その先は待って!
待たない!え?
鈴愛ちゃんは律君の事が好きなんだ!
あ~…。
何で言う!? 何で ボクテが言う!?
どうせ言うんやったらどうせ言うんやったら自分で言いたかった!
カンちゃん ごめんね。
♪~
鈴愛…。
今の話 本当?
<もちろん 明日に続きます>