----H----109------------------
----a-----------------------------
----n-----------------------
----b-u-n-a-o-i--------------
-----------------------------------
---------------------------------------------------------------
(鈴愛)ただいま!
(花野)ただいま~!
(晴)あんた どうした? いきなり…。
帰ってきました。
(宇太郎)何や 鈴愛いつまでおれるんや?
永遠に。
(律)こんばんは~。
律…。よっ。
(龍之介)遅かったな。お~ 悪い悪い 仕事で。
(草太)律にいちゃんも カツ丼で?あ~ お願い。
特盛りで。あいよ~。 カツ丼 特盛り一丁!
ごちそうさま。はい ありがとうございました。
ごちそうさまでした~!
何で 律までおる?
食堂で カツ丼食べるだけや普通や。
♪~
♪「おはよう 世の中」
♪「夢を連れて 繰り返した」
♪「湯気には生活のメロディ」
♪「鶏の 歌声も」
♪「線路 風の話し声も」
♪「すべてはモノラルのメロディ」
♪「涙零れる音は」
♪「咲いた花がはじく雨音」
♪「悲しみに青空を」
♪「つづく日々の道の先を」
♪「塞ぐ影に」
♪「アイデアを」
♪「雨の音で歌を歌おう」
♪「すべて超えて響け」
♪「つづく日々を奏でる人へ」
♪「すべて超えて届け」
♪~
(ドアベル)あっ 菜生!
(菜生)カンちゃん 大丈夫?うん。
あの子は楡野家では大スターだからジジババみんなで取り合っとる。
ママやなくて泣かへん?全然。 人見知りしない。
うちも大勢の家やで人見知りない。
改めて 鈴愛ちゃん お帰りなさい。
フフッ ただいま。
う~ん!帰りました。
出戻りました。うう…。
菜生には言っとったけど誰にも言わずに帰ってきた。
うん チャレンジャーやなあと思っとった。
何となく 菜生が言ってくれとるかと思っとった。
(まさこ)何や 鈴愛ちゃん出戻ったかね?
おばさん 直球や。心に穴が開くわ。
ほうか 出戻ったか…ま~かんなあ。
ま~かんって何や!?
あっ ほいでな 律がおった。ん?
律が うちの食堂でカツ丼食べとった。
あ~ あんたんとこのカツ丼は今 ちょっと来とる。 ブームや。
名古屋のマツタカ屋に支店が出るって専らの噂や。
ほんなにか?ちょっと聞いとったけど草太が ホラ吹いとるかと思っとった。
や… ほんな事は どうでもええ。何で律がおる?
何で 律が 梟町でうちで カツ丼食べとる?
えっ うまいから?ボケんでもええ。
そうか 律の事 言ってなかった?
えっ 離婚した?
律も離婚したか?
相変わらずやな 鈴愛ちゃん。
全ての解釈が自分の都合のいい方へ都合のいい方へと。(ドアベル)
(龍之介)こんばんは~。(まさこ)あっ いらっしゃい。
お前 何やっとる?モカとキララは どうした?
(菜生)あっ 今日 ジジババとお義姉さんと龍宮亭行った。
焼き肉 半額デーや。
モカとキララっていうんか。パンチあんな。
あれ 知らなんだ?まあまあ 久しぶりに梟会おそろいで。 一緒に一緒に。
いや~ おばさん うれしいねえ。
そんなに喫茶ともしび 慕ってくれて。
(龍之介)や… そういう訳でも。
女が できた訳や ない?
お前 5歳児に何を本気で聞いとる?
あのね パパは お星様になったの。
(仙吉)えっ… 死んだの?(草太)いや ちゃうやろ。
カンちゃん 嘘は いけません。
嘘じゃない。パパは スターになる。
スター お星様。むうバアバに習った!
英語できます カンちゃん!ディス イズ ア ペン!
お~ すごいな カンちゃんは。
アイム ファイン サンキュー。ハウ アー ユー?
あ~ アイム ファインサンキュー。 イエ~!
あ~ もう おじいちゃんは話 混ぜっ返さないで。
スター… 何のスターになるの?
映画!パパは 映画のデビューします!
あっ あれか!
前に映画監督になるって言ってたあれか!?(花野)そう それ!
そういう事か…。いやいや 晴さん。
ちゃんと 鈴愛が帰ってきたらゆっくり…。
あんまり問い詰めん方がええと思うぞ。
ミー トゥー!カンちゃんも そう思う!
カンちゃん草太と2階行ってよっか?
(花野)今 大事なとこ。さ~せん。
もう おじいちゃんはすぐ そうやって鈴愛 甘やかすから…。
まっ ほやけど 晴さんちょっと そっとしとこやないか。
3日もすりゃ 帰っていくんやろどうせ。
そうなの?夫婦ゲンカっていやあそんなもんやよなあおじいちゃん。
小さいジイジ それは違う。
ママとカンちゃんはず~っといてそして カンちゃんはおおジイジの年金でおもちゃをいっぱ
い買ってもらう!
何か 念入りな説得が行われたような…。
あの子永遠って言ってたもんなあ。
いつまでおるの? 永遠。
(宇太郎)ほやけど…。
ちょっと 電話してみようかね?
(光江)この度は 本当に申し訳ございませんでした!
あかんみたいや。もう 届けも出したらしい。
バアバ! みいバアバ代わる!
あ… はいはい。
すいません 光江さんカンちゃんが代わりたいって。
みいバアバカンちゃん 新幹線乗った!
ああ ほやったなあ。
カンちゃん アイス食べてママは酔っ払った!
シャンパン飲んだ! ビールも。
今? いない! ともしび行った!お友達と飲みに!
別れた?はい。
出戻った?はい。 今日 この よき日に。
ええか? あんたは最初だけや。
かわいい 僕のお姫様天使 女神様 ハニー…。
結婚する前だけや。
したら どうや。 私の誕生日も結婚記念日も忘れとった。
お前だって忘れとったやないか?私は ええ! しかたない。
モカとキララでいっぱいや。
私は 美しい未亡人となりました。えっ 死んだの? 旦那。
あっ そうか。 未亡人っていうのは旦那が亡くなった時に言う事か。
そうだよ。違う。 じゃ 違うわ。
未亡人ではありません。生きてます。
旦那 バリバリ生きてる。うん よかった。
死んでくれた方がよかったかも。え?
諦めがつく。
律…。はい?
律…。何でしょうか?
あの日…。あの日?
あの時。あの時? ん? 何かの歌詞か?
違う。 あの時。
夏虫の駅で律にプロポーズされたあの時!
鈴愛。
結婚しないか?
ああ…。私が無理って言ったのは…。
あ~ いいよ あの時の事は もう。違うんや 律!
私が無理って言ったのは…。
口説いてる~! フフフフッ。
あ~ 帰ってきていきなり口説いてる~!律と再婚してもらおうと思っとる。(龍之介)おい
菜生!
あ~ もう… 久々に飲んだもんで。あっ どうぞ 続きを…。 行くぞ。
あ~ 君たち こんな所で不倫してないで さっさと帰るよ。
えっ 不倫?(菜生)鈴愛。律は出戻った訳やない。ちゃ~んと大阪に妻子がおる。
名古屋の菱松電機に異動になったけどまた 大阪に戻るんや。しばらくの間 梟町におる
。なあ~。
何や 単身赴任か。あっ じゃ 今のは なしで。
おい。君たち もう青春は終わりだよ。
高校卒業したの いつよ?えっ? う~んと…。
もう おばさんとおじさんでしょ?
アラサー? アラフォー?知らんけど。
お子さん 待ってるでしょ?早く帰んなくていいのか?
♪「うさぎ追いし かの山」
♪「小鮒つりし かの川」
♪「夢はいまも めぐりて」
♪「忘れがたき故郷」
あ… ごめん ごめん 遅なった。カンちゃんは?
今 寝た。あんたは ここで布団敷いて 寝て。
何で 上は? 私の部屋。
う~ん…今 ちょっと ガラクタが。
あっ カンちゃんは大きいジイジと寝たでね。
ありがとう。
♪~
あんた 何やっとる?
お母ちゃん この天井に魚。
おじいちゃんと寝る時にいつも見とった。
久しぶりに見た。
あんたは ほんなんで本当に お母さんかね?
お母さんや。
この子が世界で一番 愛おしくて大事や。
あっ お母ちゃんも大事やよ。
ええんやよ。
あんたには 漫画があったでね。
あんたにとっては漫画が一番大事なんかとおかあちゃん 思っとった。
漫画しかよう愛さんかと思っとった。
違う お母ちゃん。
私は 漫画には夢中になっとった。夢中や。
でも 愛とは違う。
この子を産んで よう分かった。
(晴)ほうか…。
おかあちゃん あんたと草太がかわいて しょうがなくてあんたにも こういう気持ちを味あ
わせたかった。
カンちゃん ママ一人で寝るのさみしがるって。
渡しといてって。
♪~
<目を閉じればそこは 嗅ぎ慣れた家の匂い。梟町には 昔のように明日またねと言える
菜生がいてブッチャーがいて律もいて。鈴愛は何だか ホッとして…。ふるさとに帰ってき
たんやなあと思いました>
あれ 何や…。