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[℡]（呼び出し音）
[℡]はい　もしもし。
もしもし　萩尾ですが。
（鈴愛）えっ　誰？
♪～
♪「おはよう　世の中」
♪「夢を連れて　繰り返した」
♪「湯気には生活のメロディ」
♪「鶏の　歌声も」
♪「線路　風の話し声も」
♪「すべてはモノラルのメロディ」
♪「涙零れる音は」
♪「咲いた花がはじく雨音」
♪「悲しみに青空を」
♪「つづく日々の道の先を」
♪「塞ぐ影に」
♪「アイデアを」
♪「雨の音で歌を歌おう」
♪「すべて超えて届け」
♪～
℡
はい　もしもし。
もしもし　萩尾ですが。
えっ　誰？
あっ　和子さん和子おばさん　いますか？
[℡]ワコさん…　あっ　バアバか。今　おつかい。
お父さん　います。お父さんでいいですか？
あ…。
あっ　ううん。　いいです　いいです。
あっ　そうだ。君　名前　何ていうの？
翼。　萩尾　翼　７歳です。
翼君か…　いい名前だね。
あっ　そうだった！
どちら様ですか？ご用件があれば　お伝えします。
いいです。　また　かけます。
ありがとう。
♪～
律の子どもか…。
信じらんないなあ。
翼君。
（花野）ママ～！
やっぱりなまた泣いてると思った。
また泣いてると思われてたか。いかんな。
でも　カンちゃんこれは悲しい涙ではなく感動の涙です。ん？
はい　これ　ママにも作った。スズメ！
わっ　すごい。
これは　めあおばちゃん作だな。
ばれましたか。
カンちゃん。
はい　ママ！
ママか…。
私　ママだもんなあ。
ママだ。
＜そして　律は　いつの間にかお父さんだ。翼君のお父さんと　鈴愛は心の中で思って泣いていました。私たちに時は過ぎた＞
（笛の音）
（弥一の鼻歌）
（弥一）今は　み～んなデジタルになってまったけどデジタルは　曖昧さがなくなる。パキッとしすぎて。
私なんかは　フィルム。　銀塩写真。
（律）そうやよね～。フィルムは写真に奥行きがある。
お母さん　結構　調子よさそうだね。
うん。　律たちがおるしな。
お正月明けで疲れが出なきゃいいけど。
おっ　翼もいいお顔だ。
パパ　ジジ！お～　どうした？
翼は　パパっこだな～。
よその人にはお父さんって言うんだよ。
今ね　電話で　ちゃんと言った。おっ　電話か？
翼　電話取ったか？うん　電話があった。
翼　ちゃんと　しゃべったよ。誰？
いいですって切っちゃった。また　かけますって。な～んだ。
でも　きっと　こんな人。ん？
（翼）声から想像して描いてみた。
翼は賢いな～。
昔のパパを思い出すよ。アイデアがある。
しかし　これ　誰だ？
（麦）光江姉ちゃんは涼ちゃんの親代わりだったもんね。
（光江）ほんな事は　あらしまへんけど思わず言うてしもた。
うちは　あんたをそんな子に育てた覚えはない！
光江姉ちゃんが大阪から出戻ってきて。
ちょちょ…　出戻り言いなはんな。繭ちゃんが亡くなって。
涼ちゃんが　ひとりになってここへ引き取って。
光江姉ちゃんが再婚しなかったのは涼ちゃんのためだよねえ。
わてしかおらん思たんや。
お父ちゃん　そもそも帽子作りしか　しいひん人や。
お母ちゃん　病気がちやったし。
あんたらは　お嫁に行かないかん。
まっ　こないに居つくとは思わなんだ。
こっちこそ。
（めあり）私も結局　離婚したしな。その話は　ええわ。
うちも　あのころは　まだ２０代。
あんたらも　まだ若うてこれから嫁に行く。お父ちゃんも　お母ちゃんもいずれは亡くなる。わてしか　あの子をちゃんと見れんやないか。
そう思て　うちは　あの子のほんまのおかあちゃんと思て…。
ほんまの　おかあちゃんや思て育ててきたのに！
何で…何で　こんな事になってしもた？
（泣き声）でもまあ　予兆はあったよね。
うん　あった。ろくでなし感が　ひしひしと。
あれ　お父ちゃんに似たな。うちらのお父ちゃん。帽子ばっか作って「ミューズや」とか言うていろんな女のとこ渡り歩いてその女のために帽子作って。
お母さんも苦労したんだね。お父さんもね。
結局は　うち追い出されて最後は　ひとりで死んでった。
うちはな　あの子を　涼次をそんなふうにしたないんや。
したないんや。
人は　人である事を捨てたあかん。
いくら　立派な芸術家になってもそれはあかん！
…って言って　涼次と取っ組み合いになったのよ。
ん…　なるほど。
（祥平）本当にいいのか。
（涼次）はい。（祥平）そう。
祥平さん俺　人として間違ってますかね？
ん…　多分な。でも　涼次の人生は涼次のもんだから。
（祥平）涼次が　そう決めたんなら応援するよ。
俺は　お前の味方だ。
♪「良い子だ　ねんねしな」
♪「カンちゃんのおもりはどこへいった」
♪「あの山越えて里へいった」
カンちゃん　この歌やめない？暗いよ。
カンちゃん　これ好き。
趣味渋いね。
これさ　子守が嫌で　おねえさんが里に帰っちゃうって歌だよ。
ん？　里とは？
う～んと　おうち？
フフフッ。フフフッ。
おやすみ　カンちゃん。おやすみ～。
♪～
キリマンジャロ　いれてみました。あっ　すいません。
じゃ　俺これで。あっ　いえ　できれば　いて下さい。
はい。
涼ちゃん。
明けましておめでとう。松の内も過ぎたけど。
あ…　ああ。
今年もよろしく…じゃないのかな。
光江おばさんから話は聞きました。
気持ち　変わらない…？
はい。
嫌だ…。
私は　別れるのは嫌だ。
あの時から…あの時から涼ちゃんが　雨の中傘をささないで　私と踊ってくれたあの時から…。
あの時から私は…。
涼ちゃんに恋してる。
恋し続けてる。
今も　好きで好きで　しかたない。
涼ちゃん　帰ってきて。
♪～