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(大地)バアバ~!(晴)は~い お帰り!
はい。ん? アハハ ありがとう。
公園行ってきた?(里子)はい。ダイちゃん 今日はいい枝が いっぱいあったね。
うん!(仙吉)大地は枝が好きなんやと。
(草太)子どもは不思議だよ。
二派に分かれる。枝派と石ころ派。
公園なんかで拾ってきて集める。宝物。大地パパのカツ丼 食べてくだろ?
食べる!
あ~ ええな~。 草太のカツ丼。
卵が ふわっふわでカツが カリッカリ。
ハハハハハッ。
あっ 鏡開きせなかんな。
<2008年お正月です>
♪~
♪「おはよう 世の中」
♪「夢を連れて 繰り返した」
♪「湯気には生活のメロディ」
♪「鶏の 歌声も」
♪「線路 風の話し声も」
♪「すべてはモノラルのメロディ」
♪「涙零れる音は」
♪「咲いた花がはじく雨音」
♪「悲しみに青空を」
♪「つづく日々の道の先を」
♪「塞ぐ影に」
♪「アイデアを」
♪「雨の音で歌を歌おう」
♪「すべて超えて届け」
♪~
さ~て 腕によりをかけて今年一発目!
<さて 草太のカツ丼。まず メレンゲを作る。それを和風だしの餡と混ぜ合わせて ふわとろソース。揚げたてのカツをのせて中濃ソース。タマネギは入れません。え~ 時は 2008年。つくし食堂 一時モータリゼーションとやらの波が押し寄せて潰れかけましたが今 盛り返しております。なぜなら 草太のカツ丼これが当たりました!草太は2年前に長年勤めたエッグシェフ!を辞め今 つくし食堂の若き店長です。草太一家は つくし食堂から歩いて10分の所に住んでいます>
(戸が開く音)(宇太郎)あっ お店 まだ…あっ 和子さん。
明けましておめでとうございます。もう 松の内も過ぎちゃったけど。
明けましておめでとう。
(一同)おめでとうございます。
何か じゃ また来ます。ごめんなさい。
和子さん。
ん?
もしかして 病院の帰り?
あ… うん。
ともしび 行こか。 お茶でも。
ええの?
(花野)はい 今日はニンジンよ。
(鈴愛)おかず ニンジンだけ?貧乏なんだ。
(花野)どうした? ママ。貧乏つらいか?
カンちゃん どうしよう。パパ帰ってこない。
今日は駄目かもしれないけど明日か あさってには帰ってくる。
うん。 帰ってくるよね。
明日か あさってには…。
[℡]「ただいま電話に出る事ができません」。
(めあり)あ~っ やっぱり出ない。携帯切ってるよ ずっと。
(光江)ああ~。
(麦)逃げたな。どこまででしょうか?
まさか 上野発の夜行列車で竜飛岬まで!
デカチョウそれは「紅白」の見過ぎ!
フ~ッ!(せきこみ)
もしや マニラに高飛び。いや 金ないな。
しゃあない 一肌脱ごか。
わてしか やれるやつ おらんやろ。
涼次を連れ戻したる。
てか 光江姉ちゃん追い出したんだよね?
あん時は あん時やろ。 これ以上帰ってきいひんかったらわてが悪者になる!
しかしあの子は どこ行ったんや!
(2人)絶対 祥平さんちだよ。
(祥平)うまそう。
うまい。
涼次 お前さ本当に帰んなくていいのか?
はい。 腹決まってますから。そうか。
それより 祥平さん絵コンテ描いてみたんでちょっと見てもらってもいいですか? ごめんなさい。
(チャイム)
(祥平)はい。
こんにちは。 ご無沙汰してます。
お久しぶりです。
お久しぶりです。
ん~ いるんやろ?はい?
おりますわな?
涼ちゃん! 涼次!光江おばちゃんや~!
・にゃあ!
何や猫かいなあ。
ほな ちょっと上がらしてもうて猫の腹でもなでさしてもらおかな。
光江姉ちゃん!
本当の事を言えば…。
僕が涼次の…涼次さんの「名前のない鳥」を盗んでしまった時から…。
や… 盗んだ訳じゃないし。
いや チャンスを奪い取った。
俺がそれ撮っちゃ駄目でしょうか?
(弓子)え?
僕は涼次に チャンスを返したいと思っていました。
僕は 「名前のない鳥」を絶対に当てようと思いました。
そして お金をためて人脈をつくってもう一度 涼次に映画監督の座を用意したいと思いました。
そうだったの?
今回の映画監督の話は祥平さんが?
や… 違う。違います。
涼次は はっきりと この世界から足を洗うと宣言しました。
そういうの 一切いいんです。俺 決めたんで。
僕は もう 関わっちゃ駄目だと理解しました。
(涼次)でも…。
えっ 涼ちゃん 「でも…」なの?「でも…」は涼ちゃんなの?
僕から連絡を取った。 祥平さんに。
僕は 祥平さんが 映画の世界がやっぱり 諦められなくて…。
すごい才能のあるあんな すてきなものを作る祥平さんと縁を切る事ができなかった。
憧れが 消えなかった。
(ため息)
まっ 分からんでもおまへんわな。
そういう事は あるな。
そのうちに 弓子さん…あっ 佐野弓子さんからご指名があってまた脚本を書いてくれないかって。最初は断ったんだけど…。
その 涼次が書いた佐野弓子原作の「恋花火」の脚本は すばらしくて僕も 一映画人としてこれは絶対に涼次が監督すべきだとは思っています。
ほうか。 話は分かった。
ほんなら 撮ったらええやないの?え?
監督になったらええやないの。
なあ 麦ちゃん。うん…。
ほな 決定。 さっ うち帰ろう。
カンちゃんのお父ちゃんは映画監督や。 かっこええなあ。
はい 帰ろう。帰らない。
家には帰らない。鈴愛ちゃんとは別れる。
何でやの? 訳が分からんわ!
お金の事やったらなんとでもなる。 大納言がある!
あんたが フルで働けんかったらみんなで代わりばんこに働いたらええやないの! なあ?
(麦)うん…。僕は もう 家には帰らないんだ。
ひとりになるんだ。(光江)何で?
光江おばちゃん これは僕にとって一世一代のチャンスなんだ!
こんな平凡な僕にこんなチャンスが巡る事なんてもう二度とないんだ!人生 賭けても惜しくない。
家族より大事なもんがこの世にあるんか?
鈴愛ちゃんは愛しいしカンちゃんは かわいすぎる。
それで 自分がいっぱいになる。
それで 自分は終わる。
何を言うとるんや。 ん?
僕は この映画を成功させたい。これ一本で終わりたくない。
映画監督なんて何万人の人が憧れて一人しかなれないような特別なものになるには普通の幸せの場所にいたら駄目だと思う。あ… 僕は駄目だと思う。
よほど 力のある人は 両方を人生において持てるだろうと思う。
僕は 無理だ。
ほんで 家族捨てるんか?
家族と映画を天秤にかけて家族捨てる言うんか~!?
うちは あんたをそんな子に育てた覚えはない!
光江姉ちゃん!
光江姉ちゃん!
あ~!
♪「あなたの おなまえは?」
藤村めありです!
♪「あら すてきな おなまえね」ありがっとさ~ん!
カンちゃん 何 折ってるの?カエル。
パパ帰ってきたら あげる!
♪~
<鈴愛は その番号をもう覚えてしまっています。幼い頃から何度もかけたので…>
[℡](呼び出し音)
<なぜ 急に電話をしようなんて思い立ったのか鈴愛自身にも分かっていません>
℡
[℡](呼び出し音)