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（鈴愛）子どもができたの。
（涼次）鈴愛ちゃんとおなかの子のために俺が働く。
カタギの仕事を探す。
映画の世界から足を洗う！え…。
いいの？
（産声）
（貴美香）かわいい女の子やよ～。
（晴）かわいい。
どうぞ。
＜生まれたばかりの彼女を迎えたのはみんなの笑顔でした。サンキューと　この子が心の中で言ったかどうか分からないけれどいいお顔ね～。こんにちは。ひいばあちゃんの廉子です。もう死んじゃってるけどお空から君を守るよ～！＞
（仙吉）廉子さん見てるよ～。
おめでとう。
かわいい…。
（光江）あんた　泣いてる場合やないで。
♪～
♪「おはよう　世の中」
♪「夢を連れて　繰り返した」
♪「湯気には生活のメロディ」
♪「鶏の　歌声も」
♪「線路　風の話し声も」
♪「すべてはモノラルのメロディ」
♪「涙零れる音は」
♪「咲いた花がはじく雨音」
♪「悲しみに青空を」
♪「つづく日々の道の先を」
♪「塞ぐ影に」
♪「アイデアを」
♪「雨の音で歌を歌おう」
♪「すべて超えて響け」
♪「つづく日々を奏でる人へ」
♪「すべて超えて届け」
♪～
お誕生日おめでとう！
僕　本当は昨日まで上野動物園にいたんだけどカンちゃんのお祝いに抜け出して君に会いに来たんだ！
（藤堂）あれ？　ウケない。
カンちゃん　よかったね。わ～って言ってるよ。
ボクテありがとう。
＜２００３年１２月２３日。クリスマスイブイブ。カンちゃん　１歳のお誕生日です＞
（裕子）クウちゃんも　この前までこんなだったのになあ。
あれ？　裕子ちゃんとこのクウちゃん　今いくつだっけ？
７歳。　今度　小２。ええ～！
人の子は早いよねえ。
自分の子いないけど。
あっ　ユーコもありがとう。レダハー。
子ども服　やっぱ違うわ。
あのさ　カンちゃんのお誕生日とはいえどこんな年末に押しかけたのには訳があります。
ん？　何？
この度　私　東京は青山から仙台に引っ越す事になりました。
えっ？　聞いとらん。
（藤堂）洋二さんの仕事の関係なんだって。
家具の輸入？うん。
東京の方はもう軌道に乗ったから故郷の仙台にも支店を作ろうとしてて。
あ…　そうなんだ。
いつ行くの？急なんだ。　年内には。
不安や。　ユーコがいなくなる。
いなくならないよ。仙台と東京　２時間だよ。
（裕子）この子は　いつまでたっても甘えん坊さんや。
僕も　ギュ～ッ。
カンちゃん　お誕生日おめでとう。
おめでとう。
カンちゃんの誕生日に僕たちの永遠の友情を誓う。
ギュ～ッ。
（田辺）そう　１歳か。かわいいさかり。
はい。　子どもの写真で年賀状　作っちゃいました。
ハハッ　そりゃ　重症だ。
あっ　今年活躍した１０人か。
ふ～ん…。
北島康介選手なんでだろうのテツ　ａｎｄ　トモ。
あっ。　ああ　元住吉監督だ。　ほら。
（涼次）本当だ。
（田辺）へえ～　また来年早々新作か。すごいねえ…。
でもさ　涼ちゃん　よかったよ。え？
人生には　舵切る瞬間ってあるよね。
あっ　俺　今　トナカイか。
トナカイの顔でこういう事　言ってもあれだけど。
俺　独りもんじゃん。はい。
若い頃　結婚のチャンスない事なかったの。
でもさ　俺　ミュージシャン目指してたからさ。
初めて聞きました。フフッ。
その女の子帝王製紙のお嬢さんでさ。
社長令嬢。すごい。
婿に来てくれれば社長の座は用意するって言われてたんだけどね。
俺　音楽の道　諦めきれなくて。
あん時　人生の舵切り損なったんだなあと思うよ。
あん時　結婚してれば　俺　今は帝王製紙の会長か何かで孫とか抱いちゃってたのかな…なんて。まっ　今は今で気ままでいいんだけどさ。はい。
だからさ何が言いたいかっていうと涼ちゃん　いい時に　いい具合に舵切ったよ。あんな　かわいい奥さんもらってカンちゃんいて。
カンちゃんちゃん。　わっ。　わっ。
カンちゃんちゃん。カンちゃんちゃん。
すいませんこんなにしてもらっちゃって。
（めあり）ううん。　これとか子どもに戻ったみたいで楽しかった。
（麦）遅いねえ　涼ちゃん。
すいません　ちょっとミルク飲ませてきます。
（光江）うん。　はい　どうぞ。カンちゃん　またね～。
おしゃぶり　おしゃぶり…。
まずは…。
もう　カンちゃん　すぐ　おしゃぶりどっかやっちゃう…。
♪～
＜それは　この前掃除をしている時に見つけた涼ちゃんの新作でした＞
（泣き声）あっ　ミルクね　ミルク。　よいしょ。
（泣き声）どうした？　はいはい。
来たよ。　おいで。
（泣き声）
熱い。　花野　どうした？
どうした　どうした？体温計　体温計。
４０度！？４２度。
あっ　あの　東病院！救急あるとこな！
鈴愛ちゃん　支度！　支度しよう！
♪～
え？ちょっと点滴します。
点滴？　こんな小さな子に？
ごめんなさいねちょっと　チクッとするよ。
（泣き声）よしよし　よしよし。
あ…。おかあさん！
大丈夫ですか？はい…。
（泣き声）
[℡]（呼び出し音）
[℡]「ただいま　電話に出る事が…」。ああっ。
もう…　あの子は何やっとる。
ここ　今　使ってないから。あっ　あの…。
あの子　大丈夫なんでしょうか？あの　後遺症残ったりとか死んじゃったりなんて事ないですよね？
あの　耳が聞こえなくなったりとか片耳聞こえなくなったりとかないですか？あの　私が　私が　そうなんです！
おかあさんちょっと落ち着きましょう。
情けない…。
・（泣き声）
（泣き声）
あっ　花野が泣いてる。
私たちに任せて。おかあさんは　ここで少し休んで。
ほら　ご家族の方も待合室にいらっしゃるし。　ねっ。
おかあさんが　そばで動揺すると赤ちゃんも　びっくりしちゃう。
はい…。
お嬢さんの状態逐一　知らせに来ますしおかあさんも何かあったら　これナースコール押して下さいね。
すいません…。
・（泣き声）
[℡]（呼び出し音）
[℡]（晴）はい　もしもし。お母ちゃん　鈴愛。
（晴）ああ　電話しようと思っとった。
カンちゃん　１歳の誕生日や。それどころやない。
カンちゃんが熱出した。　４２度やと。どうなってまう？
そこ　病院か？
うん。今　お医者さんが診てくれとる。
[℡]ほうか。
怖い…。
大丈夫や。℡お母ちゃん。
カンちゃん　大丈夫や。あんたも強かった。
ほうか。あんたは半々やった。
は？[℡]へその緒　複雑に巻いとって生まれてくるかどうかは半々やった。
それ　小学校３年の時にも聞いた。
小学校３年の私によう言うなと思った。
ほやったかね。　悪かったね。
ほやけど　よう育った。
今は　立派な３０過ぎたおばさんや。
おい。元気や。
[℡]ほやから　大丈夫や。うちの家系は強い。カンちゃんも絶対大丈夫。
ほやろか。うん。
あんた　お母ちゃんやろ。
カンちゃんのお母ちゃんあんたしかおらん。
[℡]しっかりしなさい。カンちゃんは大丈夫。
はい。
（仙吉）頼むよ　廉子さん。
＜ここは　なんとしてでも…＞
うち　もう一回　涼ちゃんに電話。
[℡]（呼び出し音）
あ…。[℡]（女）はい　もしもし。
[℡]（女）もしもし。どちら様でしょうか？
どうした？涼ちゃん　電話つながった？
女が出た。はあ！？