子どもの自由を奪う
過干渉こそが最大の虐待
「そんなの考え過ぎだ」と思う人は多いでしょうが、意外にも堂々暴力を振るう人は、「自分が悪いことをしている」とは思っていないものです。豊田さんも、こうした歪んだ価値観を埋め込まれて育ったのではないでしょうか。
もちろん、暴力を受けて育てば暴力的になるわけではありません。元タカラジェンヌの東小雪さんは、実父からの性虐待という堪え難い暴力を受けた経験をお持ちで、それを『なかったことにしたくない 実父から性虐待を受けた私の告白』(講談社)という本に詳しく書いておられます。私はお会いして、まっすぐで優しいお人柄に驚きました。それにはしかし、事実を直視して乗り越えるという勇気が必要です。
親が働く暴力は、罵詈雑言を投げつけたり、殴ったり蹴ったりするなど、分かりやすい形だけではありません。私は、子どもの自由を奪う監視や過干渉こそが、最大の虐待だと考えています。
そう言うと必ず、「まだ小さいのに叱らずに放っておいて、交通事故に遭ったりしたらどうするんだ?」などと切り返してくる人がいます。
確かに身を守る最低限の知識は持っておく必要があるでしょう。しかし、叱りつける必要があるでしょうか?単に「道路に飛び出しては危ない」ということを、教えてあげたらいいだけ。大人だって、叱りつければ凹むだけで、正しく学習することなんてできないはずです。どうして、大人はダメでも子どもなら、叱られたら正しく学習する、などと変なことを思うのでしょうか。