イグニッションキーを使えば手動でできるが、現在のアイドリングストップ機能にはさまざまな技術が投入されている。自動のアイドリングストップを制御するため、ブレーキのコントロールのほか、ハンドルやアクセル、ウィンカーやその他の操作もセンシングしている。加えて、始動時間を少しでも縮めるため、エンジンが停止したサイクル(吸気・圧縮・膨張・排気)を検知し、最短2サイクルでエンジンを始動させたり、停止するサイクル(ピストンの位置)を、次に始動が最短になるように制御する技術などが開発されている。
また、停止のための減速状況を把握し、速度がゼロになる前にエンジンを切る制御も開発されている。アイドリングストップはストップしている時間が長いほど燃費効果が上がるので、少しでも早くエンジンを止めて、燃費効果の分岐点となる5秒を稼ごうというわけだ。
アイドリングストップは全体コストの節約になるのか
1回の信号停止が1分前後として、毎回50~100ccのガソリンが節約できるアイドリングストップだが、実際どれほど効果があるのか。本当に燃料代の節約、省エネになっているのだろうか。
いま、あらためてこの疑問に立ち返る人は少ない。普及当初の2010年ごろは、多くの自動車媒体が取り上げていた問題だ。それらは、「効果はゼロではない」「メリット・デメリットがある」という回答に集約される。
1回100ccの節約だったとしても、回数が増えれば効果は大きくでるはずだ。仮に1日1回、1分前後の信号停止があったとすると、1年で35リットル、平均的なコンパクトカーで給油1回分のガソリンが節約できる計算だ。信号の多い都市部では通年換算で数千円の節約も不可能ではない。毎日運転するような場合は、節約は数万円にもなるかもしれない。
ただ、落とし穴もある。アイドリングストップ機能では、信号待ちなど停止時の無駄なガソリンは節約できるが、駐車中のアイドリングに無駄があれば、「貯金」はすぐに使い果たしてしまう。例えば駐車中でも人が乗っていれば、空調などのためエンジンをかけっぱなしせざるを得ないため、そもそも「貯金」はたまりにくい。